労使協定を締結する事項と届出義務

今回は、労使協定についてです。

目次

  1. 労使協定とは
  2. 労使協定の締結事項
  3. 締結した後、さらに届け出る義務のあるもの

労使協定とは

労使協定とは、「当該事業場に労働者の過半数で組織する労働組合があるときにはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定」のことを言います。

労使協定がある場合、労働基準法で禁止されている使用者の行為であっても、労使協定の範囲内で労働基準法違反にはならないという効果が発生しますが、その労働者にその内容を命令するには、就業規則や労働契約の規定で根拠がなくてはならないと解されています。

労働者の過半数を代表する者には、法第41条第2号に規定する監督、管理者でない者であることが必要です。

また、労使協定等の労働者の過半数代表者の選出は、代表者の選出である旨を明らかにして行われる投票・挙手等で選出された者で、使用者の意向に基づき選出されたものでない必要があります。

労使協定の締結事項

次の事項は労使協定の締結が必要です。

  1. 使用者が労働者の貯蓄金をその委託を受けて管理する場合
    【貯蓄金の管理に関する協定】
    根拠条文:労働基準法第18条第2項、労働基準法施行規則第5条の2・第6条
  2. 賃金の一部を控除して支払う場合
    【賃金控除に関する協定】
    根拠条文:労働基準法第24条第1項
  3. 1箇月単位の変形労働時間制で労働させる場合
    【1箇月単位の変形労働時間制に関する協定】
    根拠条文:労働基準法第32条の2第1項、労働基準法施行規則第12条
    就業規則その他これに準ずるもので規定があれば、協定は不要
  4. フレックスタイム制で労働させる場合
    【フレックスタイム制に関する協定】
    根拠条文:労働基準法第32条の3、労働基準法施行規則第12条の3
    ・届け出は不要だが、清算期間が1ヶ月を超える定めをする場合は必要(労基書式5)
    ・就業規則等で、始業及び終業を労働者の決定にゆだねるとする規定が必要
    ・労使協定で定める事項は以下の通り
    1 対象となる労働者の範囲  
    2 清算期間 
    3 清算期間における起算日
    4 清算期間における総労働時間  
    5 標準となる1日の労働時間  
    6 コアタイム
    7 フレキシブルタイム
    ※6・7は必ず設けなければならないものではないが、設ける場合はその時間帯の開始および終了時刻の明示が必要になる
  5. 1年単位の変形労働時間制で労働させる場合
    【1年単位の変形労働時間制に関する協定】
    根拠条文:労働基準法第32条の4、労働基準法施行規則第12条の4
  6. 1週間単位の非定型的変形労働時間制で労働させる場合
    【1週間単位の非定型的変形労働時間制に関する協定】
    根拠条文:労働基準法第32条の5、労働基準法施行規則第12条の5
  7. 休憩を交代で与える(一斉休憩適用除外)場合
    【一斉休憩の適用除外に関する協定】
    根拠条文:労働基準法第34条第2項、労働基準法施行規則第15条
  8. 時間外及び休日に労働させる場合
    時間外・休日労働に関する協定
    根拠条文:労働基準法第36条、労働基準法施行規則第16条、17条、18条
    ・労働基準監督署に労使協定を届出て初めて効力が発生
  9. 割増率引き上げ分に相当する代替休暇付与
    【代替休暇にかかる労使協定】
    根拠条文:労働基準法第37条第3項、労働基準法施行規則第19条の2
  10. 事業場外みなし労働時間制で(所定時間を超えて)労働させる場合
    【事業場外労働に関する協定】
    根拠条文:労働基準法第38条の2、労働基準法施行規則第24条の2
    ・ただし、所定時間労働するものとみなす場合には協定不要
  11. 専門業務型裁量労働制で労働させる場合
    【専門業務型裁量労働時間制に関する協定】(労基書式6)
    根拠条文:労働基準法第38条の3、労働基準法施行規則第24条の2、第24条の2の2
    ・労使協定で定める事項は以下の通り
    1 対象業務(法令により定められた19業務)

    2 みなし労働時間

    3 業務の遂行手段、時間配分の決定等に関し具体的な指示をしないこと

    4 対象業務に従事する労働者の健康・福祉確保のための措置

    5 対象労働者からの苦情処理に関する措置

    6 有効期間(3年以内が望ましい)

    7 4,5に関する対象労働者ごとの記録の保存(有効期間中および期間満了後3年間)
  12. 企画業務型裁量労働時間制で労働させる場合
    【企画業務型裁量労働制に関する決議届】
    根拠条文:労働基準法第38条の4、労働基準法施行規則第24条の2の3、24条の2の4、24条の2の5
    ・労使協定では足りず、労使委員会による決議を労働基準監督署へ届け出て初めて効力が発生する
    労使委員会とは、賃金・労働時間その他当該事業場における労働条件に関する事項を調査審議し、事業主に対し意見を述べることを目的とする、使用者及び当該事業場の労働者代表で構成される委員会のこと。
    ・この委員会の5分の4以上の多数による決議は、次の労使協定に代えることができる。
    1 1ヶ月単位の変形労働時間制

    2 フレックスタイム制

    3 1年単位の変形労働時間制

    4 1週間単位の変形労働時間制

    5 一斉休憩適用除外

    6 時間外及び休日労働

    7 割増率引き上げ分に相当する有給代替休暇付与

    8 事業場外労働制

    9 専門業務型裁量労働制

    10 年時有給休暇の分割付与

    11 年時有給休暇の計画的付与

    12 年時有給休暇中の賃金の定め
  13. 年次有給休暇を分割付与する場合
    【時間単位年休に関する協定】
    根拠条文:労働基準法第39条第4項、労働基準法施行規則第24条の4
    ・労使協定で定める事項は次の通り
    1 時間単位年休の対象労働者

    2 時間単位年休の日数

    3 時間単位年休1日の時間数

    4 1時間以外の時間を単位とする場合はその時間
  14. 年次有給休暇を計画的に付与する場合
    【計画年休に関する協定】
    根拠条文:労働基準法第39条第6項
  15. 年次有給休暇中の賃金を定める場合
    【年次有給休暇期間中の賃金に関する協定】
    根拠条文:労働基準法第39条第7項、労働基準法施行規則第25条

締結した後、さらに届け出る義務のあるもの

労使協定には、締結すればその効果が生じるものと、締結後さらに労働基準監督署へ届け出る義務のあるものがあり、その具体的内容は次のとおりです

労使協定を締結する事項労働基準監督署への届出
貯蓄金の管理に関する協定必要
賃金控除に関する協定不要
1ヶ月単位の変形労働時間制に関する協定必要
フレックスタイム制に関する協定清算期間が1カ月を超えない場合
不要
清算期間が1カ月を超える場合
必要
1年単位の変形労働時間制に関する協定必要
1週間単位の非定型的変形労働時間制に関する協定必要
一斉休憩の適用除外に関する協定不要
時間外・休日労働に関する協定必要
代替休暇にかかる労使協定必要
事業場外労働に関する協定
所定労働時間を超えない場合
不要
所定労働時間を超える場合
必要
専門業務型裁量労働制に関する協定必要
企画業務型裁量労働制に関する決議届必要
時間単位年休に関する協定不要
計画年休に関する協定不要
年次有給休暇期間中の賃金に関する協定不要

労使協定を締結する事項と届出義務 について書きました。

貯蓄金に関するもの、労働時間が増加し労働が過酷になりそうなものは届出が必要となっています。

そして、時間外・休日労働に関する協定に関しては、届出てはじめて効力が発生します。

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