割増賃金の端数処理

今回は、割増賃金の端数処理についてです。

目次

  1. 1時間あたりの端数処理
  2. 1ヶ月における割増賃金の総額の端数処理
  3. 時間外労働時間そのものの端数処理

1時間あたりの端数処理

割増賃金計算における端数処理については、常に労働者の不利となるものではなく、事務を簡便にすることを目的としたものは認められています。

具体的には、1時間あたりの賃金額に円未満の端数が生じた場合は、四捨五入できます。(計算例1)

また、1時間あたりの割増賃金額に円未満の端数が生じた場合についても同様に四捨五入できます。(計算例2)

なお、四捨五入ではなく1円に切り上げても構いませんし、また、端数処理をせずに円未満の端数をそのまま計算に用いることもできます。

ただし、一律に切り捨てることは労働者の不利となることからできないと考えられています。

(計算例1)
1ヶ月の平均所定労働時間数161.33時間、月額給与31万円の場合における通常の1時間あたりの賃金額

31万円÷161.33時間=1921.52円→1922円

(計算例2)
1ヶ月の平均所定労働時間数161.33時間、月額給与31万円の場合における1時間当たりの割増賃金額

31万円÷161.33時間×1.25=2401.90円→2402円

1ヶ月における割増賃金の総額の端数処理

1ヶ月における時間外労働の割増賃金の総額に1円未満の端数が生じた場合は、四捨五入できます。

休日労働や深夜業の割増賃金の総額についても同様の考え方です。

計算例2で、残業時間が18時間15分、残業手当を15分単位で支給する場合

2402円×18.25=43836.5円→43837円

時間外労働時間そのものの端数処理

会社によっては、時間外労働時間の計算における労働時間の算出にあたって、30分単位とか15分単位にしているところもあります。

このような場合に、例えばある日の時間外労働時間が14分だった場合などに、どのように処理するのかという問題が生じます。

時間外労働の時間は、1ヶ月の合計時間に対して端数処理をしなければならないとされています。

例えば、1ヶ月の合計時間について1時間未満の端数がある場合に、30分未満の端数を切り捨て、それ以上を1時間に切り上げることは可能です。

1日単位で時間の端数処理を行うと、極端に不利になるケースがあるからです。

休日労働時間数、深夜労働時間数についても同様の考え方です。

下の図の例のように、15分単位で残業時間を設定する会社で1日ごとに端数処理をすると、1カ月では1時間26分も違います。

日付残業時間
2日1:35
3日2:06
4日 0:21
7日0:34
14日0:13
15日 0:10
20日0:57
22日1:09
27日0:42
28日2:09
合計9:56
日付残業時間
2日1:30
3日2:00
4日 0:15
7日0:30
14日0:00
15日 0:00
20日0:45
22日1:00
27日0:30
28日2:00
合計8:30


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