高齢化社会と言われる中で、これから必要とされる場面が増えそうな介護保険について概要を見ていきます。
- 被保険者と介護保険法の概要
- 認定と給付
- 一定以上所得者とは
被保険者と介護保険法の概要
高齢者の介護サービスは、従前、老人福祉制度と老人保健制度で提供されていましたが、介護保険法の制定により、社会保険方式により介護を行い、利用者の選択による介護サービスが行われることになりました。介護保険法は2000年に施行され、医療保険(健康保険や国民健康保険等)から切り離されることになりました。
被保険者
市町村の区域内に住所を有する65歳以上の者を第1号被保険者
市町村の区域内に住所を有する40歳以上65歳未満の医療保険加入者を第2号被保険者
と言います。
第2号被保険者の場合、会社員であれば、原則健康保険料と一緒に給料から天引き(特別徴収)されます。
第1号被保険者の場合、原則年金から天引き(特別徴収)されます。
定義
要介護状態または要支援状態に対し、保険給付が行われます。
6カ月間にわたり継続して常時介護を要すると見込まれる状態、または支援を見込まれる状態を要介護状態、または要支援状態と言います。
つぎのような7つの状態に区分されます。1が軽く、5が重い状態です。
要支援1
要支援2
要介護1
要介護2
要介護3
要介護4
要介護5
要介護者とは、次のいずれかに該当する者です。
- 要介護状態にある65歳以上の者
- 要介護状態にある40歳以上65歳未満の者であって、その要介護状態の原因である身体又は精神上の障害が加齢に伴って生ずる心身の変化に起因する疾病であって政令で定めるもの(「特定疾病」という)によって生じたものであるもの
要支援者とは、次のいずれかに該当する者です。
- 要支援状態にある65歳以上の者
- 要支援状態にある40歳以上65歳未満の者であって、その要支援状態の原因である身体又は精神上の障害が特定疾病によって生じたものであるもの
特定疾病とは、がん、関節リュウマチ、初老期における認知症などです。
したがって、たとえば、45歳の方が階段から転んでけがをしたとしても介護保険は使えません。
認定と給付
給付を受けるためには、市町村の認定を受けなければなりません。認定を受けるためには、まず申請が必要です。原則、申請から30日以内に結果が出ます。
認定の有効期間は、原則6カ月間です。
要介護更新認定の申請は、要介護認定有効期間の満了日の60日前から満了日までの間に行います。
要介護認定を受けた被保険者には、介護給付として居宅サービス及び施設サービスが選択により保険給付されます。
介護給付を受けた場合には、被保険者に対し9割(一定以上の所得又は現役並所得の被保険者は8割又は7割)が保険給付されます。残りが一部負担金です。
なお、ケアプランの作成については、一部負担金は不要です。
一定以上所得とは
一定以上所得とは、たとえば単身世帯で年金のみの収入の場合、280万円未満です。
世帯人数や合計所得金額によって、最大3割負担となっています。
現状は多くの人が1割負担なのですが、利用者負担については、引き上げる方向で見直しが検討されています。
また、ケアマプランの作成は10割給付、つまり利用者負担なしなのですが、これも利用者負担を求める方向で検討されています。
(出典 財務省資料) chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/material/zaiseia20241113/01.pdf
これから必要とされる制度なのに利用者にとっては負担増の方向です。
それ以外にも介護保険法は、2027年の法改正に向けて検討されています。市町村や都道府県の計画も3年ごとに見直されます。
今回は、介護保険法について、その概要を見てみました。
社会保険はみんなそうなのですが、介護保険も申請しなければ、給付を受けられません。
いつ、親の介護が必要になるかわかりません。その時に介護認定されれば、少しは心の負担がやわらぎます。また、自分も確実に年を取ります。あすは我が身です。知っておいて損はありません。