労働基準監督官が事業所に突然やってくることがあります。
以前勤めていた職場でも、なんのアポイントもなくやってきたことがありました。
今は忙しいからと言って、拒否することができるのでしょうか。
目次
- 労働基準監督官の調査は拒否できるのか?
- 調査の種類
- 調査の件数
労働基準監督官の調査は拒否できるのか?
結論から言うと、基本的に調査の拒否はできません。法律に基づく権限で調査に来ているからです。
労働基準監督官が突然調査にやってきたときに、調査を拒否したり、追い返したりした場合、後日複数の労働基準監督官で臨検して結局調査されることになったり、最悪の場合強制捜査されたりということもあり得るようです。
そして、「強制捜査」をするということは、その後「送検」されるということを意味します。
法律違反の濃い疑いがあって労働基準監督署が調査に入った場合で調査を拒否したとなると、悪質な事案であって隠ぺいの恐れありととらえられ、強制捜査という判断になってしまう可能性もあります。
労働基準監督官が調査に入った場合は必ず報告書を作成し、労働基準監督署長の決裁を経て報告書が保管されます。
その報告書に「調査を拒否した」という事実も記録されているので、拒否した事実がずっと残ることになります。
「調査の拒否」はお勧めしません。
調査の種類
労働基準監督署が行う調査の種類は、主に「定期監督」「申告監督」「労働災害を契機とした監督」の3種類があります。
監督というのは、調査に入ってから問題点を見つけて、それを改善するという一連の流れの業務のことを指している、と考えればよいようです。
定期監督
- 行政の方針、計画に基づき行う監督
- 調査対象は無作為に選ぶ
- 通常は予告なく調査に入る
申告監督
- 労働者の申し立てによって調査に入る
- 賃金不払、残業代の不払、解雇、等
- 連絡を取って調査に入ることが多い
労働災害を契機とした監督
- 災害発生状況を調査し再発防止を指導
- 脳、心臓、精神疾患の原因のとなった長時間労働を調査
- アポイントをとるかどうかは臨機応変
それぞれ上のような特徴があります。
以前、職場にやってきた監督官は、労働者の家族から「労働時間が長い」旨の申告が複数あったために来た、と言われていました。
1人の申告ぐらいでは来ないのだけど、とも言われていました。
上記の分類だと申告監督ということになるのでしょう。申告内容にもよるのでしょうが、複数の申告があると、より監督に入る可能性が高そうです。
調査の件数
労働基準監督年報というものがあり、令和4年度の数字を確認すると、定期監督は、全国で約14万件行っています。
「労働災害を契機とした監督」は、統計上「定期監督」に含めているそうです。
「定期監督」と「労働災害を契機とした監督」の合計で約14万件となります。
同じく「申告監督」は、約2万件です。
3つの監督の合計は、約16万件となります。
一方、全事業場の合計は、382万事業所という統計になっています。単純計算すると、1年間で約3%~4%の事業場が、労働基準監督署の調査を受けているという計算になります。
(出典 令和4年 労働基準監督年報) chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/kantoku01/dl/r04.pdf
今回は労働基準監督官の調査について書きました。
労働基準監督官は、アポなしで来ることの方が多いようです。慌てず、きちんと対応しましょう。