「スポットワーク」の法的な留意事項

急に人手が欲しい時などに利用するスポットワークですが、最近利用者が急増しているようです。

そんな ポットワークについて取り上げます。

目次

  1. 厚生労働省が留意事項を周知
  2. 労働契約の成立時期
  3. スポットワーク協会が示した解約可能事由

厚生労働省が留意事項を周知

スポットワークに関しては、企業側にとっては一時的に必要となった労働力を補うことができる一方で、働く側にとっても自身の都合に合わせて空き時間に働くことができるため、双方にとって利便性が高く、雇用仲介アプリの登録者数や利用件数は、急増しているようです。

それに伴いトラブルも増加しているようで、厚生労働省は2025年7月4日に留意事項を記載した要望書を経済団体や業界団体に交付し、リーフレットを公表しています。

厚生労働省HP https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_59321.html

労働契約の成立時期

リーフレットでは、スポットワークは事業主とスポットワーカーが直接労働契約を締結することとなるとしています。

つまり労働基準法等を遵守する義務は、労働契約を締結した事業主に生じます。

そして、労働契約の成立時期については、次のような考えを示しています。

スポットワークでは、アプリを用いて、事業主が掲載した求人にスポットワーカーが応募し、面接等を経ることなく、短時間にその求人と応募がマッチングすることが一般的です。

面接等を経ることなく先着順で就労が決定する求人では、別途特段の合意がなければ、事業主が掲載した求人にスポットワーカーが応募した時点で労使双方の合意があったものとして労働契約が成立するものと一般的には考えられます。

スポットワーク協会が示した解約可能事由

厚生労働省からの要望を受けて、スポットワーク協会は「スポットワークサービスにおける適切な労務管理へ向けた考え方」をまとめ、キャンセルに関する対応方針を整理しました。

それによると、労働者からのキャンセルは原則として理由を問わず可能としています。

使用者側からのキャンセルは原則としては不可だが、解約可能事由に該当すれば可能としています。

そして、解約可能事由に該当しない場合は、休業手当の支払いが必要としています。

解約可能事由は、全部で11個あり、読んでみて概ね妥当だと感じましたが、10番目の事由は気になりました。

解約可能事由⑩  大幅な仕事量の変化に伴い募集人員の変更が必要となった場合

就労開始時刻の24時間前以前であれば、休業手当の支払い不要でこの理由で解約できるとしています。

スポットワークがそもそも大幅な仕事量の変化に応じて利用する性格のものなのに、キャンセルも大幅な仕事量の変化にともない可能となります。

就業開始時刻の24時間前以前は仮の労働契約成立で、就業開始時刻の24時間前以降からは正式な労働契約成立といったイメージでしょうか。

スポットワーク協会のホームページで解約可能な条件について公表されていますのでご覧いただければと思います。

今回は、スポットワークの留意点について書きました。

一時的な仕事であるという性質上、仕事の中止を命じられたり、早上がりを命じられたり、といったトラブルがあることが推測できます。

マッチングアプリで労働力を手軽に賄うことができるからと言って、事業主の労務管理の義務がなくなるわけではないことには留意が必要です。

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