給与計算の手当の支給において就業規則(賃金規定)が大切な理由

今回は、 給与計算の手当の支給において就業規則(賃金規定)が大切な理由 についてです。

目次

  1. 実費弁償的な性格のものなのかの判断
  2. 割増基礎額の対象かどうかの区別
  3. 担当者以外に手当の性格が判断できない

実費弁償的な性格のものなのかの判断

名称だけでは、その手当が実費弁償的な性格のものなのか、そうでないのかの判断が難しいです。

例えば、「出張休出手当」という名の手当があったとします。

出張旅費や宿泊費などの実費弁償的なものであれば、原則として労働保険の賃金や社会保険の報酬の対象にはなりませんが、「出張休出手当」という名称だけでは、実費弁償的なものなのかどうか、判断ができません。

給与と別に清算しているのではなく、これを給与と一緒に手当として支給している場合、規定がないと所得税の対象となるのか、社会保険の対象となるのかの判断に困ることになるのです。

割増基礎額の対象かどうかの区別

時間外労働手当を計算する際は、

通常の1時間あたりの単価 × 時間外労働の時間

で計算します。

この通常の1時間あたりの単価の計算は、月給制の場合、次の式で計算することになります。

月額給与額 ÷ 月平均所定労働時間

そして、この月額給与額には基本給を始めとする各種手当も含まれますが、家族手当、通勤手当、別居手当、子女教育手当、住宅手当、臨時に支払われる賃金、1カ月を超える期間ごと支払われる賃金は除外して計算することができます。

これらの手当については、名称で判断するのではなく実態で判断することになりますので、この判断についても規定がないと難しいです。

担当者以外に手当の性格が判断できない

規定に記載のない手当は、担当者が異動になったり、やめたりした場合に、どういう性格なものかわからなくなりがちです。

すると既得権が発生し、要件に該当しなくなった場合でも、その手当を不支給とすることが難しくなってしまいます。

就業規則は、労務トラブルの未然防止や会社の秩序維持の目的もありますが、給与計算でも大切です。

新たに手当を新設した場合には、就業規則(賃金規定)にも記載しておきましょう。

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