マクロ経済スライドってなに?

今回は、マクロ経済スライドについてです。

目次

  1. マクロ経済スライドってなに?
  2. キャリーオーバーとは
  3. 財政検証

マクロ経済スライドってなに?

マクロ経済スライドとは、その時の社会情勢(現役世代の減少率や平均余命の伸び)に合わせて、年金の給付水準を自動的に調整する仕組みです。

ここで使う「調整」というのは、減少させることを意味します。

調整率 = 公的年金被保険者総数変動率 × 0.997(平均的な年金受給期間の伸びを勘案した一定率)

を掛けることにより、減少させます。

0.997を掛けていますので、平均余命の伸び分で▲0.3%は減少することになります。

年金額は賃金や物価の上昇に合わせて変動しますが、一定期間、年金額の伸びを賃金や物価が上昇するほどには増やさないことにより、公的年金の持続可能性を高めるようにしています。

年金は、給付額がルールに従って定められている確定給付の制度です。

すると、現役世代が減少していくことや平均余命が伸びていくことにより、収入が減り支出が増えることになります。

そして、それを保険料の増加で賄おうとすると、保険料がどこまでも増えてしまう可能性があります。

そこで、保険料は一定水準に保ち、給付額を自動的に減らす仕組みを2004年に導入しました。

この仕組みをマクロ経済スライドと呼んでいます。

キャリーオーバーとは

キャリーオーバーとは、「繰り越し」や「持ち越し」を意味する言葉で、宝くじなどで1等当選者が出なかったときに、その賞金を次回に繰り越す仕組み、持ち越し金を指します。

マクロ経済スライドによる調整(減額)は、名目額を下回らない範囲で行い、下回った分は翌年度以降に持ち越す(キャリーオーバーする)仕組みとなっています。

物価や賃金の伸びがマイナスの場合は、年金額を引き下げますが、それ以上追い打ちをかけて減額はしません。

減額できなかった分を翌年度以降にキャリーオーバーします。

厚生労働省HP https://www.mhlw.go.jp/nenkinkenshou/manga/07.html

財政検証

政府は、少なくとも5年ごとに、保険料及び国庫負担の額並びにこの法律による給付に要する費用の額、その他の財政に係る収支についてその現況及び財政均衡期間における見通し(財政の現況及び見通し)を作成しなければならないとされています。

そして、この財政均衡期間は、財政の現況及び見通しが作成される年以降、概ね100年間とされています。

厚生労働省HP https://www.mhlw.go.jp/nenkinkenshou/manga/07.html

国民年金事業の財政は、長期的にその均衡が保たれたものでなければならず、著しくその均衡を失すると見込まれる場合には、速やかに所要の措置が講じられなければならない。

財政の均衡(国民年金法4条の2)

国民年金法4条の2の「所要の措置」とは、給付の額を調整する調整期間を設けることです。

この調整がマクロ経済スライドであり、つまり今(2026年)は長期的に財政が著しく均衡を失すると見込まれているということになります。

今回は、マクロ経済スライドについて書きました。

年金財政の面からも、政府は、社会保険の適用拡大や女性や高齢者にもできるだけ長く働いてもらおうという施策を実施しています。

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