適用範囲を拡大、給付の男女差は解消へ【厚生労働省が労災保険制度の見直し案】

厚生労働省は2025年12月、労災保険制度の見直し案を示しました。

見直し案には法改正が必要な事項が含まれており、令和8年の通常国会に労災保険法の一部を改正する法律案を提出する方針です。

目次

  1. 暫定任意適用事業は廃止へ
  2. 遺族補償等年金は妻の支給要件・給付に統一
  3. 特別支給金を審査請求の対象に

暫定任意適用事業は廃止へ

労災保険の適用関係では、個人経営の農林水産業で、かつ一定の要件に該当する事業を暫定任意適用事業としていましたが、これを廃止します。

また、家事使用人については、労働政策審議会で審議されている労働基準法が適用除外を見直す場合、併せて労災保険法も強制適用とする方針が確認されました。

フリーランスの普及によって今後も拡大が見込まれる特別加入制度に関しては、労働保険事務の処理等の重要な役割を担う特別加入団体の要件について、これまでの通知上の要件を法令に格上げし明記する方針で一致しました。

また、特別加入団体の承認の取り消しは特別加入者の保険関係の消滅に直結し影響が大きいことから、承認の取り消し等に先立って団体に改善を要求するなど、段階的な手続きを設けることとしました。

遺族補償等年金は妻の支給要件・給付に統一

給付要件については、遺族補償等年金の夫と妻の支給要件の差を解消します。

具体的には、夫のみに課されていた支給要件(妻の死亡時に55歳以上、または障害等級5級以上等の一定の障害状態)を撤廃します。

給付水準に関しては、55歳以上または一定の障害状態にある妻1人の場合に上乗せされる特別加算(給付基礎日額22日分)を廃止します。

その上で、遺族1人の場合における給付基礎日額153日分を175日分に引き上げます。

労災保険給付請求権の消滅時効については、業務起因性を明らかにする必要があるなど、外形的な事実だけでは給付を受けられるか予測が簡単ではない事情がある一部の給付を延長します。

具体的には、療養補償給付、休業補償給付、葬祭料、介護補償給付など、消滅時効期間が2年である給付のうち、脳・心臓疾患、精神疾患、石綿関連疾病等、発症後の迅速な保険給付請求が困難な場合があると考えられる疾病を原因として請求する場合で、消滅時効期間を5年とします。

労災保険給付の種類についてはこちらの記事も参考になります。

特別支給金を審査請求・取消訴訟の対象に

社会復帰促進等事業として実施されている特別支給金等の給付的な事業は、全て審査請求や取消訴訟の対象とします。

併せて、労働者等に対する給付的な社会復帰促進等事業に対する不服申し立ては、保険給付と同様に労働保険審査官及び労働保険審査会法の対象とすることが適当とされました。

これまで特別支給金は、労災被災労働者等の損害の補填の性質を有する保険給付とは性質が異なるものとして扱われ、処分性がないとして審査請求や取り消し訴訟の対象となっていませんでした。

今回は、労災保険の見直し案について書きました。

ほぼすべて労働者に有利な方向への見直しですので、何も悪いことはありません。

男女差の解消についても、有利な方(妻)に合わせて男女差を解消しています。

歓迎すべき見直し案だと思います。

(引用 月間社労士2026.1号)

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