使える就業規則作成のポイント

使える就業規則作成のポイント について書きます。

目次

  1. 定義を明確にする
  2. 1週間の週の始まりについて
  3. 有給休暇の管理

定義を明確にする

就業規則作成においては、定義を明確にすることが重要です。

従業員の定義

まずは、従業員の定義です。たとえば、次のように定義します。

(1)正社員

次号各号以外の者で、期間の定めがなく、かつ短時間従業員でない者をいう。

(2)契約社員

1年以内の期間の定めのある労働契約(無期転換した後は無期労働契約)でかつ短時間従業員でない者をいう。ただし、通常の労働者より所定労働時間の短い者はパート社員と呼ぶ。 

(3)パート社員

正社員に比して所定労働時間が短い者をいう。

図で表すと以下のようになります。

雇用期間無期雇用有期雇用
フルタイム正社員契約社員
短時間パート社員パート社員

上の(2)の「ただし、通常の労働者より所定労働時間の短い者はパート社員と呼ぶ。」がないと、有期雇用で、かつ短時間の従業員は、契約社員なのか、パート社員なのか、はっきりしません。

会社によっては、ここで管理監督者の定義を入れてもいいでしょう。たとえば、

(4)管理監督者

本部長職以上の者をいう。

となります。

復職の基準となる「治癒」の定義

休職とは、労働者側の私的事情により一定期間、在籍したまま就業義務を免除する扱いをいい、いわば企業が労働者の義務遂行を一定期間猶予する福祉的な制度です。運用を主導するのは、会社側になります。

私傷病による休職を認めた場合、「治癒」したかどうかが判断基準となります。「治癒」の定義を定め、その後、どのような状態になったら復職を認めるのかを予め明確にしましょう。例えば、次のような条文が考えられます。

本条でいう「治癒」とは次の条件をすべて満たす場合を指す。

  1. 常時出勤することができること。
  2. 常時所定労働時間の労働ができること。
  3. 休職以前の業務につき、その業務を通常の従業員と同等程度に行うことができること。

労働者災害補償保険や傷害年金で「治癒」という言葉を使うと、症状が固定して治療の効果が見込めない状態になったことを指します。
必ずしも病気やけがが治ったことを指しません。

医師が「治癒」という言葉を使用したとしても、以前の業務に耐えられるという意味で使用していない可能性もあります。

1週間の週の始まりと法定休日

1週間の週の始まり

1週間の始まり(起算日)については、特に決まりはありません。会社が自由に就業規則に記載することができます。特に就業規則に記載がなければ、日曜日が起算日となります。
しかし、明確にする意味で就業規則に明記しておいたほういいです。週40時間超えの残業時間の算出のためにも必要です。たとえば、次のようになります。

第○○条(労働時間)

所定労働時間は、休憩時間を除き、日曜日を起算日とした1週間については40時間、1日については8時間とする。また、労働時間とは実際に働いている時間をいい、所定労働時間中であっても、任意に業務から離れた時間は含まれないものとする。

法定休日

法定休日と所定休日で、休日出勤した場合の賃金の割増率が異なります。

法定休日労働3割5分増
所定休日労働2割5分増(時間外労働と同様)

区別しないと適切な給与計算が出来なくなってしまいます。
規程例としては、次のようなものが考えられます。

第○○条(休日)

  1. 法定休日は、日曜日とする。
  2. その他の休日は次の各号の日とする。
    (1)土曜日
    (2)国民の祝日(日曜日と重なったときは翌日)
    (3)前2項の休日において、業務の都合により会社が必要と認める場合は、あらかじめ休日を他の日と振り替え、または代休日を設定することがある。

有給休暇の管理

有給休暇は月単位での管理ができます。

月の途中で入社した場合でもたとえば次のように規定することで、煩雑さを軽減することができます。

第○○条(年次有給休暇)

従業員の年次有給休暇は次の表の通りとする。なお、年次有給休暇の発生日は、雇用契約初日が属する月の1日を起算日として、6カ月経過した日(以下、「基準日」という)に10日分を付与する。以後、基準日が到来するごとに、当該1年間において所定労働日の8割以上出勤した従業員に対しては、下の表のとおり勤続期間に応じた日数の年次有給休暇を与える。

物流会社の労務部門で働いていましたが、この時も上記のような月ごとの有給管理をしていました。有給付与処理を月1回で済ますことができます。

就業規則作成のポイントについて書きました。

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