今回は、2026年に予定されている約40年ぶりとも言われる労働基準法を関係法制の見直しの動向についてです。

目次
- 議論中の事項
- テレワーク等の柔軟な働き方
- フレックスタイム制におけるコアデーの導入
議論中の事項
厚生労働省は2024年1月に、学識経験者による労働基準関係法制研究会を立ち上げ、労働基準法等の見直しについて検討を行ってきました。
すんなりと立法化が進まないものもあると思いますが、次のようなテーマが議論されています。
家事使用人
家事使用人は労働基準法の適用除外とされてきましたが、就業実態が一般労働者と変わらなくなってきていて、適用除外の見直しに向けて検討すべきである、との方向性が打ち出されています。
法定労働時間週44時間特例措置
現状、10人未満規模の一部業種の事業場における週法定労働時間は44時間とする特例措置があります。
実際に適用を受けている会社が少なく、研究会報告では、廃止に向けて検討すべきとしています。
管理監督者
本来は労基法上の管理監督者に該当しないものが、管理監督者として扱われることがないよう、要件の明確化について検討されています。
年次有給休暇の時期指定義務
1年間の付与期間の途中に育児休業から復帰した労働者や退職する労働者に関する残り期間における労働日と時期指定義務の関係についての取り扱いの改善について検討されています。
当該付与期間の残りの労働日が著しく少なくなっている労働者に対してまで、他の労働者と同じ日数の時期指定義務を課すことは、使用者や労働者にとって不合理な制約になる場合もあることから、取り扱いを検討することが必要としています。
年次有給休暇取得時の賃金の算定方法
現状は、年次有給休暇中の賃金については、(1)平均賃金、(2)所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金、(3)労使協定による健康保険法上の標準報酬月額の1/30に相当する額のいずれかを支払わなければならないとされています。
しかし、日給制や時給制の場合に(1)や(3)の方法が取られてしまうと、計算上、賃金が大きく減額され得ることになります。
原則として(2)の手法を取るようにしていくべきとしています。
休日(連続勤務規制)
現行法上は、4週を通じて4日以上の休日という変形休日制も可能になっています。
研究会報告では、これを2週2休に短縮するなど、連続勤務の最大日数を減らしていくことが提言されています。
これら以外にも、労働基準法における「労働者」について、労働基準法における「事業」について、副業・兼業時の労働時間、割増賃金ルールの見直しや、次で書くテレワーク等の柔軟な働き方などが議論されています。
テレワーク等の柔軟な働き方
現行制度では、フレックスタイム制を部分的に適用することはできず、テレワーク日と通常勤務日が混在する労働者についてフレックスタイム制の適用は困難です。
研究会報告では、通常勤務とフレックスタイム制を組み合わせることができる制度の導入が提唱されています。
この制度の導入に関しては、労働者側、使用者側とも賛同しているようで、次期法改正の内容として盛り込まれる可能性が高いと考えられています。

フレックスタイム制におけるコアデーの導入
あくまで例としてあげられたものですが、下図のように「コアデイ」という言葉が使われています。


「コアデイ」とは、現行のフレックスタイム制について、例外的に使用者が始業・終業時刻を指定できる日のことです。
フレックスタイム制が使いやすくなる可能性があり、注目しています。
(出典 厚生労働省 参考資料) chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://www.mhlw.go.jp/content/11201250/001378513.pdf
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