外国人労働者のための脱退一時金、その概要と支給要件 についてです。
目次
- 脱退一時金の概要
- 国民年金の脱退一時金
- 厚生年金保険の脱退一時金
脱退一時金の概要
外国人労働者数は、2024年10月末時点で約230万人と過去最多を更新しました。(出典 厚生労働省「外国人雇用状況」の届け出状況まとめ(令和6年10月末時点) https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_50256.html)
外国人を6か月以上の期間、雇用している事業主なら知っておきたい給付です。
日本国籍を有しない方が、国民年金、厚生年金保険(共済組合等を含む)の被保険者(組合員等)資格を喪失して日本を出国した場合、日本に住所を有しなくなった日から2年以内に脱退一時金を請求することができます。
国民年金と厚生年金のそれぞれに支給要件があり、厚生年金保険法に規定する脱退一時金の支給を受けることができる者であっても、所定の要件を満たしていれば、国民年金法に規定する脱退一時金の支給を請求できます。
国民年金の脱退一時金
支給要件は以下の通りです。
- 日本国籍を有していない
- 公的年金制度(厚生年金保険または国民年金)の被保険者でない
- 保険料納付済期間等の月数の合計が6月以上ある(国民年金に加入していても、保険料が未納となっている期間は要件に該当しません。)
- 老齢年金の受給資格期間(厚生年金保険加入期間等を合算して10年間)を満たしていない
- 障害基礎年金などの年金を受ける権利を有したことがない
- 日本国内に住所を有していない
- 最後に公的年金制度の被保険者資格を喪失した日から2年以上経過していない(資格喪失日に日本国内に住所を有していた場合は、同日後に初めて、日本国内に住所を有しなくなった日から2年以上経過していない)
厚生年金保険の脱退一時金
支給要件は以下の通りです。
- 1、2、6、7は、国民年金の脱退一時金と同じです。
3.厚生年金保険(共済組合等を含む)の加入期間の合計が6月以上ある
4.老齢年金の受給資格期間(10年間)を満たしていない
5.障害厚生年金(障害手当金を含む)などの年金を受ける権利を有したことがない
3.について補足しますと、国民年金には、保険料免除制度があるために支給要件に保険料納付済期間等と「等」が入っています。免除には、保険料全額免除だけでなく、4分の1免除、半額免除、4分の3免除があります。それぞれ、
4分の1免除の月は、4分の3
半額免除の月は、2分の1
4分の3免除の月は、4分の1
として合計して、支給要件をみます。払った分だけを合計して支給要件をみるイメージです。それに対して、厚生年金保険の加入期間は、1カ月単位です。よって「等」は、入っていません。
外国人労働者が保険料の払い損になるのを防ぐための給付と考えると分かりやすいと思います。
出典 日本年金機構ホームページ https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/seido/sonota-kyufu/dattai-ichiji/20150406.html