労働基準法上の適用事業についての行政解釈

今回は、適用事業についてです。

労働基準法では、事業の種類に関係なく労働者を1人でも使用する事業を適用事業としていますが、その行政解釈について見ていきます。

目次

  1. 適用単位について(昭和33.2.13基発95号)
  2. 労働基準法に基づく報告または届出(平成7.12.26基発740号)
  3. 暫定任意適用事業とは

適用単位について(昭和33.2.13基発95号)

(1)事業とは、工場、鉱山、事務所、店舗等のごとく一定の場所において、相関連する組織のもとに業として継続的に行われる作業の一体をいうのであって、必ずしもいわゆる経営上一体をなす支店、工場等を総合した全事業を指称するものではありません。

(2)従って一の事業であるか否かは主として場所的観念によって決定すべきもので、同一場所にあるものは原則として分割することなく一個の事業とし、場所的に分散しているものは原則として別個の事業とします。

(3)しかし、同一場所にあっても、著しく労働の態様を異にする部門が存する場合に、その部門が主たる部門との関連において、従事労働者・労務管理等が明確に区分され、かつ、主たる部門と切り離して適用を定めることによって、法がより適切に運用できる場合には、その部門を一の独立の事業とします。

例えば、工場内の診療所、食堂等がこれに該当します。

(4)また、場所的に分散しているものであっても、出張所、支所等で規模が著しく小さく、組織的関連ないし事務能力等を勘案して一の事業という程度の独立性がないものについては、直近上位の機構と一括して一の事業として取り扱うこととします。

例えば、新聞社の通信部等はこれに該当します。

労働基準法に基づく報告または届出(平成7.12.26基発740号)

同一企業が複数の事業場を有する場合であって、同一の労働基準監督署管内に2以上の事業場があるときは、各事業場に係る労働基準法に基づく報告または届出については、当該企業内の組織上、各事業場の長より上位の使用者が取りまとめて当該労働基準監督署に報告または届出を行うことは差し支えありません。

その場合においては、各事業場ごとに、報告または届出の内容を明らかにし、また、各事業場に係る内容が同一であればその旨を明らかにした上で、報告または届出を行うこととします。

暫定任意適用事業とは

労働者災害補償保険法や雇用保険法においても、適用事業の考え方は労働基準法とほぼ同じです。

労働者災害補償保険法、雇用保険法ともに要件に該当すれば強制適用となりますが、暫定任意適用事業は除かれており、暫定任意適用事業については労働者災害補償保険法と雇用保険法で異なっています。

暫定任意適用事業とは、以下の事業のことです。

労災保険の場合

個人経営の農林水産の事業で、かつ、次のいずれかに該当するもの。

(1)農業

常時5人未満の労働者を使用する事業であって、次のいずれにも該当しないもの。

イ 一定の危険または有害な作業を主として行う事業

ロ 農作業関係の特別加入をしている事業主が行う事業

(2)林業

常時には労働者を使用せず、かつ、年間使用延べ労働者数が300人未満。

(3)水産業

常時5人未満の労働者を使用する事業であって、総トン数5トン未満の漁船または主として河川、湖沼、特定水面において操業するもの。

※常時5人未満の労働者を使用する個人経営の水産業のうち、「船員法1条に規定する船員を使用して行う船舶所有者の事業」は、強制適用事業となります。

※特定水面:陸奥湾、富山湾、若狭湾、東京湾、伊勢湾、大阪湾、有明海及び八代海、大村湾、鹿児島湾

雇用保険の場合

次のいずれにも該当するもの。

(1)個人経営の事業
(2)農林水産の事業(注)
(3)常時5人未満の労働者を雇用する事業

※個人経営の常時5人未満の労働者を雇用する農林水産業のうち、水産業の事業について「船員法1条に規定する船員が雇用される事業」は、強制適用事業となります。

(注)農林水産の事業

(1)土地の耕作もしくは開墾、または植物の栽植、栽培、採取もしくは伐採の事業、その他農林の事業。

(2)動物の飼育または水産動植物の採捕もしくは養殖の事業、その他畜産、養蚕または水産の事業。

個人経営の農林水産の事業で一定の事業は、例外的に任意適用、つまり適用してもしなくてもいい、とされています。

労働者保護の観点から、労災保険の方が、雇用保険よりも任意適用の範囲は狭くなっています。

今回は、 労働基準法上の適用事業についての行政解釈 について書きました。

適用事業について判断に迷ったら、労働基準監督署に聞くのがいいと思います。

教えてくれるはずです。

2026年に労働基準法の改正が予定されていますが、適用事業についてはそこでも議論されているようです。

==================================

メニュー

サービス