法人の役員(取締役)は労働保険の対象者に含まれるのか?

今回は、労働保険の対象者の範囲についてです。

目次

  1. 基本的な考え方
  2. 個々の労働者の届出
  3. 法人の役員(取締役)の取り扱い

基本的な考え方

労災保険

常用、日雇い、パート、アルバイト、派遣等、名称や雇用形態にかかわらず、労働の対償として賃金を受けるすべての者が対象となります。

また、海外派遣者により特別加入の承認を得ている労働者は、個別に申告することとなるので、その期間は対象となりません。

雇用保険

雇用される労働者は、常用、パート、アルバイト、派遣等、名称や雇用形態にかかわらず、
(1) 1週間の所定労働時間が20時間以上であり、
(2) 31日以上の雇用見込みがある場合
には、原則として被保険者となります。

ただし、次に掲げる労働者は除かれます。

〇季節的に雇用される者であって、次のいずれかに該当する者
・4ヶ月以内の期間を定めて雇用される者
・1週間の所定労働時間が30時間未満である者。

〇昼間学生(夜間の学生は除外しません)

個々の労働者の届出

労災保険

労働者ごとの届出は必要ありません。

雇用保険

新たに労働者を雇い入れた場合は、その都度、事業所を管轄する公共職業安定所(ハローワーク)に雇用保険被保険者資格取得届の提出が必要です。

また、雇用保険被保険者が離職した場合は、雇用保険被保険者資格喪失届と失業給付額等の決定に必要な離職証明書の提出が必要です。

労働者から役員へ変わった場合は、公共職業安定所へ別途確認します。

法人の役員(取締役)の取り扱い

労災保険

代表権、業務執行権(注1)を有する役員は、労災保険の対象となりません。

イ 法人の取締役、理事、無限責任社員等の地位にある者であっても、法令、定款等の規定に基づいて業務執行権を有すると認められる者以外の者で、事実上業務執行権を有する取締役、理事、代表社員等の指揮監督を受けて労働に従事し、その対償として賃金を得ている者は、原則として労働者として取り扱います。

ロ 法令または定款の規定により、業務執行権を有しないと認められる取締役等であっても、取締役会規則その他内部規則によって業務執行権を有すると認められる者は、労働者として取り扱いません。

ハ 監査役及び監事は、法令上使用人を兼ねることを得ないものとされていますが、事実上一般の労働者と同様に賃金を得て労働に従事している場合は、労働者として取り扱います。

※保険料の対象となる賃金は、役員報酬の部分は含まれず、労働者としての賃金部分のみです。

雇用保険

株式会社の取締役は、原則として被保険者となりません。

ただし、取締役であって同時に部長、支店長、工場長等の従業員としての身分を有する者は、服務態様、賃金、報酬等の面から見て労働者的性格の強い者であって、雇用関係(注2)が明確にあると認められる者に限り、被保険者となります。

この場合、公共職業安定所へ雇用の実態を確認できる書類等の提出が必要となります。

イ 代表取締役は被保険者になりません。

ロ 監査役は、原則として被保険者になりません。

また、株式会社以外の役員等についての取り扱いは以下の通りです。

・合名会社、合資会社、合同会社の社員は、株式会社の取締役と同様に取り扱い、原則として被保険者となりません。

・有限会社の取締役は、株式会社の取締役と同様に取り扱います。

・農業協同組合等の役員は、雇用関係が明らかでない限り、被保険者となりません。

・その他、法人または法人格のない社団もしくは財団の役員は、雇用関係が明らかでない限り、被保険者となりません。

※保険料の対象となる賃金は、役員報酬の部分は含まれず、労働者としての賃金部分のみです。(原則として、役員報酬の額より従業員としての賃金が多い場合です。)

この場合、資格取得届の提出と同時に、兼務役員雇用実態証明書を提出します。

そして、審査があります。

すでに資格取得をしている場合には取締役等に就任後、3カ月以内に提出します。

(注1) 株主総会、取締役会の決議を実行し、また日常的な取締役会の委任事項を決定、執行する権限(代表者が行う対外的代表行為を除く会社の諸行為のほとんど全てを行う権限)。

(注2)業務執行権を有する取締役・理事・代表社員等の指揮監督を受けて労働に従事し、その対象として賃金を得ている関係。

今回は、 法人の役員(取締役)は労働保険の対象者に含まれるのか? について書きました。

法人の役員は原則として労働保険の対象者にはなりませんが、給料を役員報酬の部分と賃金の部分に分けて支給している場合や後から役員等になった場合などは、注意が必要です。

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