教育訓練給付にまつわる雇用保険法の改正事項

教育訓練給付にまつわる雇用保険法の改正事項 についてです。教育訓練給付の申請の手続きは原則として被保険者本人が行います。会社として、特に何かしないといけない、ということは、原則ありません。

目次

  1. 「教育訓練給付金」の支給率等の改正
  2. 「教育訓練支援給付金」の支給額等の改正
  3. 「離職理由による給付制限」の改正

「教育訓練給付金」の支給率等の改正

この改正は、令和6年10月1日施行です。

特定一般教育訓練給付金の支給率が、最大50%(改正前は40%)に引き上げられ、専門実践教育訓練給付金の支給率が最大80%(改正前は70%)に引き上げられました。

これにより、教育訓練給付金の支給率が、最大80%に引き上げられました。

特定一般教育訓練給付金

特定一般教育訓練給付金(速やかな再就職及び早期のキャリア形成に資する教育訓練を対象)について、資格取得し、再就職等した場合、受講費用を追加で支給します。追加給付の対象者は、以下の通りです。

  1. 離職者の場合
    資格取得等をし、かつ、訓練終了日の翌日から起算して原則1年以内に一般被保険者として雇用された者
  2. 在職者の場合
    訓練終了日に一般被保険者として雇用されていて、訓練終了日の翌日から起算して原則1年以内に資格の取得等をした者
特定一般教育訓練給付金の支給申請手続き(イメージ)

専門実践教育訓練給付金

専門実践教育訓練給付金(中長期的なキャリア形成に資する専門的かつ実践的な教育訓練を対象)について、「賃金が5%以上」上昇した場合、改正前の追加給付に加えて、教育訓練経費の10%を支給します。

専門実践教育訓練給付金の支給申請手続き(イメージ)

改正後の支給率と上限額

区分一般教育訓練給付金特定一般教育訓練給付金専門実践教育訓練給付金
本体給付
[上限額]
20%
[10万円]
40%
[20万円]
50%
[年間40万円]
追加給付
(資格取得,就職等)
[上限額]
10%
[5万円]
20%
[年間16万円]
追加給付②
(上記追加給付&賃金上昇)
[上限額]
10%
[年間8万円]
最大支給率
[上限額]
20%
[10万円]
50%
[25万円]
80%
[年間64万円]
太字が改正部分

特定一般教育訓練、専門実践教育訓練ともに、厚生労働大臣の指定する教育訓練である必要があります。

(出典 厚生労働省ホームページ)

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000160564_00042.html

「教育訓練支援給付金」の支給額等の改正

令和7年4月より、教育訓練支援給付金の日額が、基本手当日額×60%(改正前は80%)に引き下げられます。また、暫定措置が2年間延長され、令和9年3月31日以前に教育訓練を開始した者とされました。

「離職理由による給付制限」の改正

令和7年4月施行の改正です。

正当な理由がなく自己の都合により退職した受給資格者であっても、離職日前1年以内、又は離職期間中に教育訓練給付の対象となる教育訓練等を受講した場合には、「離職理由による給付制限」の規程を適用しないこととされました。
ただし、自己の責めに帰すべき重大な理由によって解雇された場合、給付制限期間は3カ月です。

また、退職日が令和7年4月1日以降である場合、自己都合退職者の給付制限期間は原則1かとされました。改正前は、2カ月間でした。
ただし、退職日から遡って5年間のうちに2回以上正当な理由なく自己都合退職し受給資格決定を受けた場合、給付制限は3か月となります。

自己都合退職者の給付制限期間が2カ月から1カ月に短縮されたことは、対象者も多く、実質的に基本手当の額が増える退職者も多そうです。