二元適用事業の労災保険料の計算方法

今回は二元適用事業の労災保険料の計算方法について書きます。

目次

  1. 二元適用事業の労働保険料の種類と計算方法
  2. 現場労災の労災保険料の計算
  3. 事務所労災の賃金額の算定方法

二元適用事業の労働保険料の種類と計算方法

二元適用事業とは、労災保険の保険関係と雇用保険の保険関係とを別個に取り扱い、保険料の申告納付等をそれぞれ別々に行う事業のことです。

労災と雇用を二元的に取り扱うということで、二元適用事業と呼んでいます。

一般に建設業は二元適用事業に該当します。

二元適用事業の会社は以下の労働保険料をそれぞれ、計算します。

【労災保険】

1、一括有期事業(いわゆる現場労災の労災保険料)

2、継続事業(いわゆる、事務所労災の労災保険料)

【雇用保険】

3、雇用保険料

建設の事業における労災保険料の算定方法には、賃金による場合と請負金額による場合があります。

1 賃金による算定方法

元請負事業主が、工事の準備作業、周辺作業も含めその工事における元請け、下請け、孫請け等のすべての労働者の賃金を正確に把握し、「支払った賃金総額に保険料率を乗じて」保険料を算定します。

計算式   労災保険料 = 賃金総額×保険料率

2  請負金額による算定方法

しかし、元請負事業主がその事業全体の賃金総額を正確に把握することが困難な場合があるため、「請負金額に労務比率を乗じて得た額を賃金総額とする」ことが認められています。

計算式   労災保険料 = 請負金額×労務費率×保険料率

また、継続事業(事務所労災)の労災保険は、建設業の事務所ではたらいているときに労災事故が発生した場合の労災保険です。ですので、二元適用事業所の継続事業(事務所労災)の労災保険料の計算は、一元適用事業所の計算方法と基本的な考え方は同じです。

計算式   労災保険料 = 賃金総額×保険料率

現場労災の労災保険料の計算

数次の請負によって行われる建設事業については、元請け事業主が全体の事業についての事業主としての労働保険料の適用を受けることになり、元請負事業主はその下請負事業主が使用する全ての労働者について、保険料の納付等の義務を負うことになります。

よって、下請工事が専門で元請け工事の実績がない会社は、保険料の納付等の義務はありません。

建設の授業では一括有期事業の保険料算定のため、一括有期事業報告書と一括有期事業総括表の作成が必要です。

ただし、これについても、当該年度中に終了した元請工事がない場合は、報告書、総括表の提出は不要となります。

建設業において、一括有期事業の対象となるのは、以下の1から3のいずれの要件も満たす工事になります。

1 元受工事
元請けによる工事

2 請負金額及び概算保険料
1工事の請負金額が1億8000万円未満(消費除く)、かつ、概算保険料が160万円未満の工事

3 工事期間
当該年度内(前年4月1日から当年3月31日まで)に終了した工事

事務所労災の賃金額の算定方法

賃金総額を算定するにあたり、以下のように3つに分類します。

A、建設業の事務所で常時働く人

B、建設業の現場と事務所の両方で働く人

C、建設業の現場のみで働く人

「C、建設業の現場のみで働く人」については、現場労災が適用されますので、事務所労災の賃金総額を計算する対象から外します。

「A、建設業の事務所で常時働く人」と、「B、建設業の現場と事務所の両方で働く人」について、それぞれ、当該年度(前年4月から当年3月)までの賃金総額を算出します。

この時、賞与と交通費も忘れずに賃金総額に含めます。

「B、建設業の現場と事務所の両方で働く人」については事務所で働く時間に使われた賃金、現場作業時間以外の賃金のみを、賃金総額とします。

例えば、現場の作業が終わってから作業日報などを書くため、事務所に戻って1時間程度、仕事をした場合には、賃金の1/8のみを賃金総額に算入します。

※所定労働時間が8時間の会社の例です。

個人ごと、現場ごとで違う場合にはおおよその平均で考えます。

いかがだったでしょうか。

今回は、 二元適用事業の労災保険料の計算方法 について書きました。

賃金総額を多く算入してしまうと、結果的に、保険料を払い過ぎてしますことにもなり得ます。適切に賃金総額を算定しましょう。

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