給与の時間外割増手当の計算方法について書きます。

目次
- 最低賃金を上回る
- 労働基準法の最低限度額を上回る
- 深夜労働手当の2つの方法
最低賃金を上回る
給与の支給額の計算はそれぞれの会社によって体系や計算方法が異なります。
基本給や資格手当、職務手当、役職手当、時間外労働手当等、その種類や名称は様々ですが,それぞれの会社の給与規定等に従って計算することになります。
毎月の給与計算にあたって、固定的なもの(基本給や資格手当など)、変動するもの(時間外労働手など)の、2種類がありますので確認しておきましょう。
労働基準法の最低限度額を上回る
毎月、支払われる基本的な賃金については、最低賃金法によって最低限度額が定められています。
これを下回ることがないように留意します。
最低賃金は、地域別、産業別に定められています。
東京都の地域別最低賃金は令和7年10月3日以降1226円、埼玉県の地域別最低賃金は令和7年11月1日から1141円となります。
最低賃金はパートアルバイト、臨時、嘱託、などの雇用形態や呼称の如何を問わず、全ての労働者に適用されます。
ただし、精神または身体の障害により著しく労働能力の低い方、治療期間中の方、軽易業務、断続的労働に従事する方など、都道府県労働局長の許可を条件として、個別に減額の特例が認められています。
深夜労働手当の2つの方法
時間外労働の場合の時間外労働手当については、労働基準法で最低限度額が規定されています。
この金額に満たない場合は労働基準法違反となりますので注意が必要です。
労働基準法は最低限度額を定めていますので、それ以上であれば構いません。 実務上は最低ラインをクリアする形で会社がそれぞれ、計算方法を決めています。
深夜労働割増手当については、計算方法が2つあります。
1つは、時間外労働と時間外かつ深夜労働として、時間を算定する方法で、もう一つは時間外労働と深夜労働を別々に算定する方法です。
どちらで計算するかは、賃金規定等に従うこととなります。
労働基準法の定める最低ラインの場合の計算例
所定労働時間18時まで、18時から23時まで時間外労働時間
通常の1時間当たりの単価2,000円

A 時間外労働単価と時間外深夜労働単価を設定
2,000円×1.25=2,500円 2,500円×4時間(18:00~22:00)= 10,000円
2,000円×1.5=3,000円 3,000円×1時間(18:00~22:00)= 3,000円
B 時間外労働単価と深夜労働単価を設定
2,000円×1.25=2,500円 2,500円×5時間(18:00~23:00)= 12,500円
2,000円×0.25=500円 500円×1時間(22:00~23:00)= 500円
これから新規に規定を作成し、給与計算も新規に始めるのであれば、時間外労働と深夜労働を別々に算定する方がシンプルで、わかりやすいかと思います。
==================================