高年齢雇用継続基本給付金の手続に関する留意点

今回は、高年齢雇用継続基本給付金の手続に関する留意点についてです。

目次

  1. 初回申請時の留意事項
  2. 2回目以降の留意事項
  3. 再就職手当と高年齢再就職給付金との併給調整

初回申請時の留意事項


初回申請時の留意事項としては2つあります。

その1つは、通勤手当の定期券代の計上の仕方についてです。

通勤手当の定期券代については、支給月から起算して各月分を賃金額に算入して計上します。

ただし、最初の支給対象期間(60歳到達時等)の前に、数ヶ月分を一括して支払われた通勤手当の定期券代等については、支給対象月への参入は行わないこととしています。

2つ目として、高年齢雇用継続給付を受給した場合に特別支給の老齢厚生年金との一部調整が実施される場合があることを事前に説明しておきたいです。

老齢厚生年金の一部が支給停止される可能性があり、最大で標準報酬月額の4%相当額です。

2回目以降の留意事項

2回目以降の確認事項としては、3つです。

1つは、支給申請月の末日時点で退職していないかどうかです。

月末まで在職せず月の途中で退職した場合は、当月分が不支給となります。

誤って申請した場合は、給付金が全額返金となりますので注意が必要です。

2つ目としては、みなし賃金額を使用する必要があるかどうかです。

支給対象月の賃金額に減額があった時は、その日数と減額された賃金額を加算して「みなし賃金額」を算出し、支給率を決定することになります。

「みなし賃金額」が算定される理由は次の通りです。

A、被保険者本人の非行等による懲戒

B、疾病または負傷による欠勤、遅刻、早退など

C、事業所の休業(休業の理由、休業期間は問わない)

D、妊娠、出産、育児、介護等による欠勤、遅刻、早退等

3つ目は、支給限度額(賃金月額の75%)を超えていないかどうかです。

支給要件は月ごとに見ます。

時間外手当が多い場合や時給者など、対象月ごとに賃金支給額の変動が見込まれる場合は注意して、おきたいところです。

再就職手当と高年齢再就職給付金との併給調整

まず、給付の種類として、雇用保険の基本手当を受給していない方を対象とする給付金として、高年齢雇用継続基本給付金があります。

そして、雇用保険の基本手当を受給し、再就職した方を対象とする給付金として高年齢再就職給付金があります。

この高年齢再就職給付金と、同じく雇用保険の給付である再就職手当は、併給できません。

どちらにするかは本人が選択します。

ただし、どちらかを選択し、支給決定を受けると、その後の取り消しや変更等はできません。

再就職手当は、再就職をした日の翌日から起算して1ヶ月以内が支給期限となっています。

ただし、平成27年4月より雇用保険の給付金は、2年の時効の期間内であれば、1ヶ月経過後も支給申請が可能となっています。

主な違いは、次の表の通りです。

高年齢再就職給付金再就職手当
1年、または2年かけて支給
(支払われた賃金×最大10%)
一括で支給(基本手当日額
×残日数×60%または70%)
賃金が変動すれば給付額も変化再就職後の賃金変動に影響されない
年金と併給調整される年金と併給調整されない

雇用保険の給付については、本人が申請するものが多いですが、高年齢雇用継続給付に関しては、原則として事業主を経由して手続きを行います。

ただし、被保険者本人が希望すれば、本人が手続きを行うこともできます。

60歳前後の従業員がいる場合は、しっかり押さえておきたいところです。

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