老齢厚生年金の年金額は、裁定請求をして年金の支給が開始されるときに確定されます。
しかし、一度年金額が確定しても、年金額の改定が行われることがあります。
今回は、 老齢厚生年金の年金額の改定について です。

目次
- 退職時改定
- 在職定時改定
- 繰上げ支給の老齢厚生年金を受給している者の退職時改定
退職時改定
退職時改定とは以下のような仕組みです。
被保険者である受給権者がその被保険者の資格を喪失し、かつ被保険者となることなくして被保険者の資格を喪失した日から起算して1ヵ月を経過したときは、その被保険者の資格を喪失した月前における被保険者であった期間を老齢厚生年金の額の計算の基礎とするものとし、資格を喪失した日から起算して1ヵ月を経過した日の属する月から、年金の額を改定します。
老齢厚生年金を受給しながら厚生年金の被保険者となるような働き方をしている場合、毎月保険料を納めていますので、年金の額は毎月ちょっとずつですが上がっていくことになります。(原則として70歳未満が厚生年金の加入対象です。)
しかし、実際に受け取る年金額は毎月増額されるわけではありません。
いつ増額されるのかというと、その会社を辞めてしばらく経った時です。
しばらくというのは1ヵ月です。
しかし、65歳以降で働きながら老齢厚生年金を受給する場合には、退職しなくても毎年年金額が変わります。
在職定時改定といいます。
在職定時改定
この在職定時改定の制度は65歳以降のみに適用され、65歳未満の繰上げ支給の老齢厚生年金の対象者には適用されません。
以下のような仕組みです。
受給権者が毎年9月1日(以下において「基準日」という)において被保険者である場合(基準日に被保険者の資格を取得した場合を除く)の老齢厚生年金の額は、基準日の属する月前の被保険者であった期間をその計算の基礎とするものとし、基準日の属する月の翌月から、年金の額を改定する。
ただし、基準日が被保険者の資格を喪失した日から再び被保険者の資格を取得した日までの間に到来し、かつ、当該被保険者の資格を喪失した日から再び被保険者の資格を取得した日までの期間が1月以内である場合は、基準日の属する月前の被保険者であった期間を老齢厚生年金の額の計算の基礎とするものとし、基準日の属する月の翌月から年金の額を改定します。
9月1日に被保険者である者、または9月1日に被保険者ではないが被保険者の資格を喪失してから被保険者の資格を取得するまでの間が1月以内であれば、年金額が改定されます。
老齢厚生年金を原則通り65歳から受給し始めた場合、働いている間は毎年10月から年金額が改定され、退職したときに年金額が改定されることになります。
繰上げ支給の老齢厚生年金を受給している者の退職時改定
繰上げ支給の場合の退職時改定は、以下のようになります。
繰上げ請求したことによる老齢厚生年金の受給権者であって、老齢厚生年金の支給の繰上げの請求があった日以後の被保険者期間を有する者が65歳に達したときは、受給権者が老齢厚生年金の権利を取得した月以後における被保険者であった期間は老齢厚生年金の額の計算の基礎としないという規定(退職時改定)にかかわらず、65歳に達した日の属する月前における被保険者であった期間を当該老齢厚生年金の額の計算の基礎とするものとし、65歳に達した日の属する月の翌月から年金の額を改定します。
60歳から65歳に達するまでの間に、65歳以上の老齢厚生年金の繰上げ請求をした者が、請求日以後に被保険者期間を有する場合、65歳に達するまでは退職したとしても退職時改定は行われず、65歳に達した日の属する月の翌月から年金額を改定します。
退職しているか否かは問いません。
例えば、被保険者が60歳で老齢厚生年金の支給の繰上げを請求し、63歳で退職した場合は、退職した時点では退職時改定は行われず、65歳に達した日の属する月の翌月から年金額が改定されます。
また、被保険者が62歳で老齢厚生年金の支給の繰上げを請求し、67歳で退職した場合は、65歳に達した日の属する月の翌月に、退職に関係なく年金額を改定し、65歳に達した月から退職するまでの被保険者期間については、在職定時改定によって毎年改定され、さらに退職したとき(67歳)に年金額を改定します。
今回は、 老齢厚生年金の年金額の改定について でした。
在職定時改定の制度は、令和2年(2020年)に導入された制度です。
できるだけ長く働いてもらって、社会保険の被保険者を減らさないようにしようという政府の大きな方針の一環と見ることができます。
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