令和7年版厚生労働白書から見る公的年金被保険者数の動向

2025年7月30日に令和7年版厚生労働白書が公表されました。

出典 厚生労働白書 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_59721.html

  1. 厚生労働白書とは
  2. 令和7年版厚生労働白書から見る公的年金被保険者数の動向
  3. この傾向は続きそう

厚生労働白書とは

「厚生労働白書」は、厚生労働行政の現状や今後の見通しなどについて、広く国民に伝えることを目的にとりまとめています。令和7年版は、平成13(2001)年の「厚生労働白書」発刊から数えて24冊目だそうです。自分は、社労士試験の時の試験対策として読みました。

PDFで430ページになり、かなり読みごたえがあります。興味があれば、目を通してみても面白いと思います。

この中で、【第2部】「現下の政策課題への対応」の中の【第4章 若者も高齢者も安心できる年金制度の確立】で被保険者数に関するテーマを扱っていますので、触れていきます。

令和7年版厚生労働白書から見る公的年金被保険者数の動向

これによると、2023(令和5)年度末で、

公的年金の被保険者全体 の人数は6,745万人であり、内訳は、
第2号被保険者等(※)  4,672万人  (2020年度末と比べて、159万人増)
第1号 被保険者     1,387万人  (2020年度末と比べて、62万人減)
第3号被保険者      686万人  (2020年度末と比べて、107万人減)

となっています。また、公的年金の受給権を有している人は、全人口の約3割にあたる3,978万人となっています。

3年前の令和4年版の数字と比較し、さらに総人口の数字を足したものが下図になります。

総人口の数字は、出典 総務省統計局 https://www.stat.go.jp/data/jinsui/2023np/index.html

総人口は、総務省統計局の数字で10月1日時点のものです。半年ほどずれがありますので、完全には対応しませんが、傾向を見るために同じグラフにしました。

これを見ると、大きな傾向として、次のことが分かります。

  • 総人口は3年前と比較して明らかに減少しているが、被保険者総数はほぼ変わっていない。
  • 2号等被保険者は明確に増加しているが、1号、3号はともに減少している。

年金の1号、2号、3号については、こちらの記事で解説しています。

※ 国民年金第2号被保険者等とは、厚生年金被保険者のことをいう(国民年金第2号被保険者のほか、65歳以上の厚生年金被保険者を含む 。)。

この傾向は続きそう

日本の人口の自然増減数は、18年連続減少中です。総人口の減少傾向は今後も続きくことが予想されます。

何も制度を変えないと被保険者数もそれに合わせて減少しますが、被用者保険の適用拡大によって、被保険者数は維持させる方向となっています。
パートで働いていて第3号被保険者であった者が、第1号被保険者になるケースは増えそうです。また、少子化傾向も続きそうですので、第1号被保険者も減少することが予想されます。

状況により、国民年金の65歳までの被保険者期間の延長も検討されるでしょう。

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