令和10年4月からの遺族厚生年金と老齢厚生年金の配偶者加給年金額の改正

人はいつ死ぬか分かりません。

配偶者の死が突然やってくることもありえます。

今回は遺族厚生年金について取り上げます。

目次

  1. いつから変わるのか
  2. 配慮措置
  3. 老齢厚生年金の配偶者加給年金額の見直し

いつから変わるのか

2025年6月に年金制度改正法が成立し、そこで遺族厚生年金についても見直しされることが決まりました。

現行制度では、30歳前の有期給付などの例外を除き、夫が死亡して妻が受給する場合には原則、年齢にかかわらず終身受給することができました。

一方で妻が死亡して夫が遺族厚生年金を受給する場合には、夫は妻の死亡時に55歳以上であって、60歳から支給される仕組みになっていました。

改正後は60歳未満に死別した子のない配偶者に対する遺族厚生年金を、男女とも原則5年の有期給付として、年齢要件にかかる男女差が解消されます。

※ 子とは18歳年度末までの子、または20歳未満で障害等級1級、2級に該当する場合を指します。

実施時期は令和10年4月からになります。

女性については、40歳未満を対象として20年かけて、段階的に60歳まで引き上げられます。

令和10年4月は、平成40年4月と言い換えることができます。

平成40年4月時点で40歳未満ということは、平成元年4月2日以後生まれということです。

つまり、平成元年4月1日以前生まれの女性は、改正前の制度のままということになります。

改正の前後で、制度がガラリと変わります。

配慮措置

5年間の有給給付になるにあたり、受給者に対して、以下の4つの配慮措置が行われます。

  1. 収入要件(年収850万円未満)の撤廃
  2. 有期給付加算
    死亡者の老齢厚生年金の1/4相当額を遺族厚生年金に加算するものです。
    改正前の遺族厚生年金額は、死亡者の老齢厚生年金の4分の3相当額でした。
  3. 有期給付の継続給付(最長65歳到達まで)
    5年間の有期給付の遺族厚生年金を受給した後に、一定の所得水準以下の場合と障害要件に該当する場合には、5年間を超えて、最大65歳になるまで遺族厚生年金が受給できます。
  4. 死亡分割制度
    死亡者の婚姻期間における厚生年金への加入期間の標準報酬月額等を分割し、有期給付の遺族厚生年金を受給後に失権したものが対象になります。
    婚姻期間における分割割合は1/2で合意したものと擬制されます。

老齢厚生年金の配偶者加給年金額の見直し

老齢厚生年金に加算される配偶者加給年金額は1割減となります。

現行の年額408,100円(注)(受給権者が、昭和18年4月2日以後生まれの場合)

改正後、367,200円(注)

(注)いずれも令和6年度価格(特別加算額を含んだ額)ですので、施行時にはその年度の改定率が加算されます。

ただし、すでに受給している者の加算額は維持されます。

2025年4月の年金制度改正法で、中高齢寡婦加算も25年かけて、段階的に縮小・廃止されます。

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