令和7年度の厚生年金保険の年金額改定について

令和7年度の厚生年金保険の年金額改定について です。

  1. 令和7年度の老齢厚生年金の額
  2. 国民年金法27条に規定する改定率を乗じる年金額
  3. 加給年金額と配偶者特別加算額

令和7年度の老齢厚生年金の額

令和7年度の厚生年金保険法の年金額に係る再評価率の改定基準は、国民年金法の改定率と同様に、新規裁定者(68歳到達年度前)、既裁定者(68歳到達年度以後)ともに1.9%となりました。

老齢厚生年金の額

=平均標準報酬月額×1,000分の7.125 × 平成15年3月までの被保険者期間の月数

+平均標準報酬額×1,000分の5.481 × 平成15年4月以後の被保険者期間の月数

上記の計算式により、老齢厚生年金の額を計算します。平均標準報酬額は以下の式により、計算します。

平均標準報酬額

=(個々の標準報酬月額・標準賞与額 × 個々の再評価率)の合計額

÷ 被保険者期間の月数

上図が平均標準報酬額のイメージです。

時代とともに物価や賃金は、変化します。たとえば、昭和の時代の大卒の初任給と令和7年の初任給では、何倍も金額が異なります。単純に報酬の平均で将来の年金を計算してしまうと、目減りしてしまうわけです。

そこで、物価や賃金の上昇に応じて平均額を調整します。その調整のための率が再評価率というわけです。再評価率は、昭和32年10月以降から期間ごとに異なり、また同じ期間であっても生まれた年度ごとに異なります。日本年金機構のホームページで公開されています。

国民年金法27条に規定する改定率を乗じる年金額

改定基準が1.9%とされたことにより、令和7年度の新規裁定者(68歳到達年度前)、既裁定者(68歳到達年度以後)の改定率は、それぞれ下の表のようになりました。令和5年度の名目手取り賃金変動率が物価変動率を上回ったため、それ以降、新規裁定者と既裁定者で改定率が異なっています。

新規裁定者(68歳到達年度前)1.045(令和6年度の改定率)×1.019
=1.065
既裁定者(68歳到達年度以後)1.042(令和6年度の改定率)×1.019
=1.062

よって、国民年金法27条に規定する改定率を乗じる年金額は、以下の通りとなります。

項目年金額
老齢厚生年金の加給年金額 
       配偶者・第1子・第2子
        第3子以降
 
239,300円(224,700円×1.065)
79,800円(74,900円×1.065)
老齢厚生年金の配偶者特別加算額
      昭和9.4.2~15.4.1生まれ
      昭和15.4.2~16.4.1生まれ
      昭和16.4.2~17.4.1生まれ
      昭和17.4.2~18.4.1生まれ
      昭和18.4.2~生まれ
  
35,400円(33,200円×1.065)
70,600円(66,300円×1.065)
106,000円(99,500円×1.065)
141,200円(132,600円×1.065)
176,600円(165,800円×1.065)
特別支給の老齢厚生年金の定額単価新規裁定者:1,734円(1,628円×1.065)
既裁定者 :1,729円(1,628円×1.062)
障害厚生年金の配偶者加給年金額239,300円(224,700円×1.065)
障害厚生年金の最低保証額新規裁定者
:623,800円(831,700円×4分の3)
既裁定者
:622,000円(829,300円×4分の3)
障害手当金の最低保証額新規裁定者
:1,247,600円(623,800円×2)
既裁定者
:1,244,000円(622,000円×2)
遺族厚生年金の中高齢寡婦加算額623,800円(831,700円×4分の3)
老齢厚生年金の加給年金額、配偶者特別加算額及び障害厚生年金の配偶者加給年金額に用いる改定率は、受給権者の年齢に関わらず、新規裁定者の改定率で計算します。

加給年金額と配偶者特別加算額

加給年金額は、老齢厚生年金の家族手当のようなイメージです。その要件は、

  • その年金額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が、240以上である。
  • 受給権を取得した当時、その者によって生計を維持していたその者の65歳未満の配偶者または子(18歳年度末までにあるか、または20歳未満で障害等級1、2級に該当する程度の障害状態にある子に限る。)がある。

というものです。

さらに老齢厚生年金の受給権者の生年月日によって、加給年金額に特別加算が行われます。 昭和18.4.2以降生まれの受給権者が受給権取得当時に65歳未満の配偶者を有しており、要件を満たせば、令和7年度の場合415,900円が老齢厚生年金の額に加算されます。

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