令和7年の厚生年金保険法の改正事項

令和7年の厚生年金保険法の改正事項 について取り上げます。

目次

  1. 在職老齢年金の「支給停止調整額」の改定
  2. 「特老厚と高年齢雇用継続給付との調整」に係る支給停止額に係る調整
  3. 「標準報酬月額特例の申出」に係る添付書類の省略

1と2は、令和7年4月施行の改正です。3は、令和7年1月からの改正です。

在職老齢年金の「支給停止調整額」の改定

在職老齢年金に係る支給停止調整額は、毎年度、名目賃金に応じて改正されることとされており、令和7年度の支給停止調整額は、51万円とされました。

基本月額+総報酬月額相当額≦ 51万円の場合

この場合、年金は全額支給されます。

基本月額とは年金を12で割った額です。

総報酬月額相当額とは、その者の標準報酬月額とその月以前1年間の標準賞与額の総額を12で割った額の合計額です。イメージとしては、賞与を含む年収を12で割った額です。

基本月額+総報酬月額相当額>51万円の場合

基本月額と総報酬月額相当額の合計額が51万円を超えた分の1/2が支給停止されます。

「特老厚と高年齢雇用継続給付との調整」に係る支給停止額に係る調整

特老厚とは、特別支給の老齢厚生年金の略です。60歳台前半の老齢厚生年金と呼ばれることもあります。

60歳代前半の老齢厚生年金と高年齢雇用継続給付金との調整において、「雇用保険のみなし賃金日額×30」が、標準報酬月額の64%未満であるとき、「標準報酬月額×4%」が支給停止されることとなりました。

高年齢雇用継続給付金が縮小されたことによる改正です。支給対象月に支払われた賃金の額=標準報酬月額とすると、支給額と停止額の割合は、

雇用保険の高年齢雇用継続給付金の支給額:60歳台前半の老齢厚生年金の支給停止額

=「標準報酬月額×15%」:「標準報酬月額×6%」

=15:6

=10:4

となっています。雇用保険の給付金の支給額が10%に縮小されたことに伴い、厚生年金の支給停止額も、最大で標準報酬月額の4%に縮小されました。

「標準報酬月額特例の申出」に係る添付書類の省略

3歳に満たない子を養育する被保険者の標準報酬月額の特例の申し出について、その使用される事業所の「事業主による続柄確認欄」を設けることとし、この確認を受けた場合は、戸籍謄(抄)本または戸籍記載事項証明書の添付は不要とされました。

添付書類

添付書類原則特例
申出者と子の身分関係を証明できるもの戸籍謄(抄)本または 戸籍記載事項証明書事業主が戸籍謄(抄)本等で申出者と養育する子の身分関係を確認し、「□確認済み」にチェックを入れた場合
子の生年月日および養育特例の要件に該当した日に申出者と子が同居していることを確認できるもの住民票の写し申出者と養育する子の個人番号がどちらも申出書に記載されている場合
養育期間標準報酬月額特例の申出書・終了届の一部