給与計算は、何かと複雑です。ミスを防ぐ方法の1つに給与計算チェックシートの作成があります。
- 給与計算は、いろいろと複雑
- 給与計算ミスを減らす方法
- 賞与の有無について、補足
給与計算は、いろいろと複雑
給与計算は、いろいろと複雑です。
ひとり社長であるなら、エクセルで計算もありだと思います。
給与は役員報酬のみで毎月定額、賞与も残業手当もなく、有給休暇もないのであれば、エクセルでの給与計算もできないことはないと思います。
しかし、従業員をひとりでも雇うなら、給与計算ソフトを使用することをおすすめします。
そして、自分の分ならまだしも、従業員の給与を計算ミスするわけにはいきません。そんなときに、「給与計算チェックシート」を作成してチェックすると、ミスを減らせます。
給与計算ミスを減らす方法
給与計算は複雑であるがゆえにミスも発生しやすいです。
しかし、社会保険料率の変更や月変のチェックなど、気を付けるべき事項はある程度、決まっています。それをまとめたものが、チェックシートです。以前勤めていた社労士事務所でも使っていました。イメージとしては、下図のようなものです。

たとえば、対象月に入社が1名いたとします。
その場合、下図のように記入します。

たとえば、40歳に到達して、新たに介護保険料が発生したとします。
給与ソフト内に自動計算してくれる機能があるかもしれませんが、人間の目でもチェックしたいものです。給与ソフトへの登録が間違っている可能性もありますし、2重チェックの意味もあります。
この表は、労働社会保険の法改正、所得税や住民税の法改正があれば変わる可能性があります。また、使っていくうちに内容を変更していくことも当然あると思います。
賞与の有無について、補足
チェックシートの中に同月中の賞与の有無がありますが、これについて補足します。
賞与の源泉所得税計算は、少し複雑です。
賞与から控除する源泉所得税については、「賞与に対する源泉所得税の算出率の表」を用いて、次の手順で計算することとなっています。この表により、適用する税率を求めます。給与と違い、適用する税額を求める表ではないことに注意が必要です。
- 賞与の支給月の前月の給与等の金額から社会保険料等の金額を控除した額を計算します。(前月の給与計算で、源泉所得税額表に当てはめた金額です。)
- 扶養控除等申告書が提出されている場合には、甲欄の扶養親族等の数に応じた列、扶養控除等申告書の提出がない場合には、乙欄の列を決定します。
- その列の中から、1で計算した前月の社会保険料控除後の給与等の金額が該当する行を求めます。
- その行に記載された率が、賞与の金額に乗ずべき率となります。
- 賞与の額から社会保険料等(健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料)の額を控除した金額に、4の率を乗じて計算した額が、源泉所得税となります。
つまり、前月の給与額が関係してきます。前月給与額を確定しておく必要があるのです。
よって、給与ソフトにもよりますが、前月の給与計算の確定処理や前回の賞与計算の確定処理が必要になります。そのためにチェックシートに欄を設けています。
賞与の源泉所得税計算に、前月の給与額が関係してくるということは知っておいた方がいいかもしれません。