小さな会社ほど労務管理を後回しにしない方がいい理由

小さな会社でも、ひとり採用したら労務管理が始まります。小さな会社の労務管理について考えてみます。

目次

  1. 小さな会社だからといって、労務管理を甘く見てはいけない
  2. 小さな会社でも勤怠管理システムがないと、手間だけ増えていく
  3. 小さな会社だからこそ、最初から環境を整えよう

小さな会社だからといって、労務管理を甘く見てはいけない

小さい会社にありがちな労務管理に次のようなものがあります。
あなたの会社にもこんなことはないでしょうか。

  • 従業員に、少なくとも年5日の年次有給休暇を取らせていない
  • パート、アルバイトに有給を与えていない
  • 就業規則を作っていない、作ったまま何年も経っている
  • 36協定を届け出ていない
  • 従業員の時間外労働がどれだけあるか、有給残日数がどれだけか、把握できていない
  • ハラスメントの相談窓口がない、防止の規則がない
  • 男性育休などの新しい働き方に対応していない

どれもトラブルにつながります。

たとえば社員数が3,4人の会社の場合、上司はひとり社長のみということがほとんどでしょう。仮に、社長がハラスメントの加害者である場合、社内に同僚を除いて相談相手がいないことになります。そして、同僚に相談しても、社長に直言はしにくいでしょう。

すると、何が起こるか、残る手段は社外の相談窓口です。

労働局や労働基準監督署の「総合労働相談コーナー」、弁護士やユニオンが代表的ですが、どれも労使紛争に直結します。

小さい会社こそ、ハラスメントが根本的に解決しにくいとも言えます。

小さな会社でも勤怠管理システムがないと、手間だけ増えていく

(記録の保存)
第百九条 使用者は、労働者名簿、賃金台帳及び雇入れ、解雇、災害補償、賃金その他労働関係に関する重要な書類を五年間保存しなければならない。

e-gov 労働基準法109条(記録の保存)より https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000049 

※ 上の5年間保存とあるのは、当分の間は3年間とされています。

労働基準法では、労働者名簿等の記録の保存が義務付けられています。この中で特に重要な3つの書類、労働者名簿、賃金台帳、出勤簿を法定3帳簿と呼んでいます。これに有給休暇管理簿を加えて法定4帳簿と呼ぶこともあります。

この法定3帳簿は、労働基準監督署や年金事務所の調査の際に提出を求められることが一般的です。
また、雇用保険、社会保険の手続の際に提出を求められることもあります。

これらの書類、とくに賃金台帳や出勤簿を正しく作るためには、労働時間、労働日数、賃金の内容を正しく記録することが不可欠です。

この記録を紙の帳簿やEXCELを使って社長自ら手作業で行っている会社もあります。

しかし、従業員を1人も雇っておらず、給与は毎月定額の役員報酬のみ、賞与もなしといった場合を除き、紙やEXCELでの手作業はお勧めしません。

複数の従業員の分をEXCELなどで管理することは、社長や会社にとって大事な資源である「時間」を失わせることにもつながります。

勤怠管理システムも月額1人数百円で利用できるものが出ています。給与計算システムも5人まで無料というサービスもあります。

小さな会社だからこそ、最初から環境を整えよう

体制の整備は、可能な限り可能な限り早く、できれば従業員をはじめて採用したところで始めるのが望ましいです。

就業規則もはじめて従業員を採用するときに準備するのがベストです。

従業員を採用してしばらく経ってから体制を整備するとなると、すでに非効率で法令無視の対応が定着していることが多いです。それをリセットしてやり直すにはそれなりに労力がかかります。

最初から体制を整備する方が、反発も少なくスムーズです。

小さな会社ほど労務管理を後回しにしない方がいい理由 について書きました。事業活動の最初期から、労務管理の環境を整えましょう。

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