行政機関が実施している統計調査についてです。
目次
- 企業に対する統計調査には、回答しないといけないのか?
- どれくらいの統計調査があるのか
- 企業に対する調査は?罰則は?
企業に対する統計調査には、回答しないといけないのか?
企業に対して、行政機関から統計調査の封筒が届くことがあります。
結論から先に言うと、回答しないといけないのか、と聞かれれば、回答した方がいいですね、という答えになります。
会社員時代にカメラレンズメーカーの総務部で給与計算等を担当していたことがあります。
机の上に知らぬ間に封筒がどさっと置かれていることがたまにありました。
見ると行政機関の統計調査です。
せめて声ぐらいかけてくれればいいのに、と思いました。その当時上司とどんなやり取りをしたかは、はっきり覚えていませんが、自分がやることになりました。3年程度やったと思いますが、回答するのも結構時間がかかった記憶があります。
今だったら、もう少しうまく対応したと思います。
どれくらいの統計調査があるのか
行政機関が公開している厚生労働省系の統計名称と概要を見てみます。
労働市場、職業安定
労働力調査(総務省)、就業構造基本調査(総務省)(5年に1回)、職業安定業務統計、雇用動向調査、転職者実態調査、就職内定状況調査、新卒就職者離職状況
賃金
賃金構造基本統計、毎月勤労統計、賃金引上げ実態調査、春季賃上げ妥結状況
雇用状況、就労条件
高年齢雇用状況、障害者雇用状況、外国人雇用状況、労働者派遣事業状況、
派遣労働者実態調査、家内労働概況調査、若年者雇用実態調査(5年に1回)、
障害者雇用状況報告、障害者雇用実態調査(5年に1回)、就労条件総合調査、
雇用均等その他
雇用均等基本調査、パートタイム実態調査(5年に1回程度)、
就労形態多様化実態(4,5年に1回、不定期)、能力開発基本調査、
労働安全衛生調査
労使関係
労働組合基礎調査、労働組合実態調査、労働争議統計調査、個別労働紛争状況、過労死等補償状況、労災発生状況の分析
厚生統計
人口推計(総務省)、人口動態統計、社会保障費用統計、年金事業の概要、
国民年金納付状況、国民医療費の概況、介護保険事業状況、国民負担率、中高年者縦断調査、国民生活基礎調査
※太字は基幹統計
上記は、自分が社労士試験の「労働に関する一般常識」科目の対策の勉強をしていた令和5年ころの状況です。統計調査は継続性が大事ですので、いまでも大きくは変わらないと思います。
年によって変動はありますが、おおむね40半ばの統計が存在します。
これ以外にも経済産業省などの調査もあります。
企業に対する調査は?罰則は?
上記の中には企業に対する調査でないものも存在します。
網羅的ではありませんが、主な調査対象は以下の通りです。平成30年から令和5年ごろのものです。人口に関する調査や費用に関する調査は、企業を対象にしたものではありません。
労働力調査:世帯を対象。
就業構造基本調:世帯を対象。
転職者実態調査:5人以上の常用労働者を雇用する事業所から約17,000事業所(令和2年当時)及びそこで働く転職者から約10,000人を無作為抽出し実施。事業所調査と個人調査の2種類あり。
賃金構造基本調査:10人以上の常用労働者を雇用する民営事業所(48,371事業所、令和4年当時)が対象。
毎月勤労統計:事業所調査。実質賃金と名目賃金等を毎月調査。
高年齢者雇用状況報告:従業員21人以上の企業235,875社からの報告(令和4年)に基づき作成。
障害者雇用状況報告:障害者の雇用義務のある事業主や公的機関に報告を求める。
障害者雇用実態調査:常時労働者5人以上を雇用する民営事業者のうち、無作為抽出した約9,200事業所(平成30年当時)が対象。
外国人雇用状況:雇用保険被保険者の場合は資格取得届と一緒、そうでない場合は翌月末日までに外国人雇用状況届出書を提出。
労働者派遣事業状況:派遣事業主に対し、毎年6月1日現在の状況を集計。
派遣労働者実態調査:事業規模5人以上の事業所約17,000か所とそこで働く派遣労働者約14,000人(平成29年当時)を対象として実施。
若年者雇用実態調査:5人以上の常用労働者を雇用する事業所約17,000カ所(平成30年当時)とそこで働く若年労働者(15~34歳の労働者)約30,000人を対象。
就労条件総合調査:常用労働者30人以上の民営企業で6,421社(令和5年)を対象。有給休暇の取得率等を調査。
雇用均等基本調査:企業調査(常用労働者数10人以上)と事業所調査(常用労働者5人以上)があり。調査対象は約6,000企業、約6,300事業所(令和3年当時)
育児休業取得者の割合等を調査。
パートタイム労働者総合実態調査:5人以上の常用労働者を雇用する事業所約17,000事業所とそこで働くパートタイム労働者約17,000人を対象(平成28年当時)
就労形態の多様化に関する総合実態調査:5人以上の常用労働者を雇用する約17,000事業所とそこで働く労働者約37,000人(令和元年当時)を対象。
労働安全衛生調査:常時労働者数10人以上の民営事業所から無作為抽出した役14,000事業所(令和4年当時)と当該事業所に雇用される常用労働者及び派遣労働者が対象。
労働組合基礎調査:すべての労働組合を対象。
労使間の交渉等に関する実態調査:労働組合員30人以上の労働組合。
人口推計:年計は毎年10月1日現在の人口を翌年4月に公開。
人口動態統計:年計は6月公表が通常。(令和6年人口動態統計の公表)
労働者5人以上の事業主になると、調査が増えています。
今回は、行政機関の統計調査について書きました。何となくイメージできましたでしょうか?イメージできれば、過度に不安になったり、嫌ったりすることもなくなると思います。
基幹統計調査は、一般統計調査と異なり、報告義務があり罰則も定められています。調査書がきたら、基幹統計調査にあたるかどうかは、まず確認したいところです。
そして内容をみて、どの程度の時間がかかりそうかも予想しながら、できるだけ協力、回答しましょう。