中小事業主等の特別加入について


中小事業主等の特別加入制度 についてです。

特別加入についてはこちらのブログでも記載しておりますので、参考にしてください。

目次

  1. 特別加入の方法
  2. 申請書の提出と業務歴の記載
  3. 支給制限の調製

特別加入の方法

まず、特別加入の方法についてです。

事業主が、事業主自身、役員及び家族従事者を包括して、事業について成立する労災保険にかかる保険関係に基づき、特別加入となる申請をし、政府の承認を受けることになります。
ここでのポイントは、事業について成立する労災保険にかかる保険関係に基づき、という部分です。

残念ながら、一般の従業員が行うのと同様の作業中の事故にしか、労災が使えないということです。

次のような判例があります。

建設の事業を行う事業主が、その使用する労働者を個々の建設等の現場における事業にのみ従事させ、本店等の事務所を拠点とする営業等の事業に従事させていないときは、上記営業等の事業につき保険関係の成立する余地はないことから、上記営業等の事業について、当該事業主が特別加入の承認を受けることはできず、上記営業等の事業にかかる業務に起因する事業主またはその代表者の死亡等に関し、その遺族等が法に基づく保険給付を受けることはできない。(最高裁判例平成24.2.24、広島中央労基署長事件)

申請書の提出と業務歴の記載

申請は、申請書を、労働保険事務組合の所在地を管轄する所轄労働基準監督署長を経由して所轄都道府県労働局長に提出することによって行わなければなりません。

申請書には事業主の氏名または名称および住所、労働保険事務組合に労働保険事務の処理を委託した日(労働保険事務組合の証明を受けなければならない)等を記載します。

特別加入して行う業務が特定業務(粉じん作業、振動業務、鉛業務、有機溶剤業務)である場合は、申請書にその者の業務歴を記載しなければなりません。

その者が特定業務に従事した期間が下記の表の期間を超えている時は、都道府県労働局長は、申請をした事業主から、健康診断の結果を証明する書類等を所轄労働基準監督署長を経由して提出させるものとされています。

健康診断に関しては、その者についての所轄都道府県労働局長が指定する病院または診療所の医師による健康診断である必要があります。

特別加入予定者の業務の種類特別加入前に従事した通算期間
粉じん作業を行う業務3年以上
身体に振動を与える業務1年以上
鉛業務6カ月以上
有機溶剤業務6カ月以上
健康診断の結果が判明するまでは、承認を保留されます。

保険料算定基礎額と支給制限の調製

給付基礎日額とは、労災保険の給付額を算定する基礎となるものです。

特別加入を行う方の所得水準に見合った適正な額を申請していただき、労働局長が承認した額が給付基礎日額となります。

給付基礎日額保険料算定基礎額
25,0009,125,000
24,0008,760,000
22,0008,030,000
20,0007,300,000
18,0006,570,000
16,0005,840,000
14,0005,110,000
12,0004,380,000
10,0003,650,000
9,0003,285,000
8,0002,920,000
7,0002,555,000
6,0002,190,000
5,0001,825,000
4,0001,460,000
3,5001,277,500
令和7年9月現在 
※年度途中での加入・脱退のときの保険料は月割になります。
※年度途中での給付基礎日額の変更は出来ません。

A特別加入保険料の滞納期間中またはB事業主の故意・重過失、C労働者としての当該中小事業主等の故意・重過失に対しては、それぞれ、下表のような支給制限の調整が行われます。

A特別加入保険料の滞納期間中B事業主の故意・重過失C労働者としての当該中小事業主等の故意・重過失支給制限の方法
Cを行った後、
残額についてA
A又はBの支給制限率の高い方
Bのみ
〇は該当した場合

※事業主の故意又は重大な過失とは、事業主として講ずべき危害防止に関する措置に係るものをいい、労働者としての故意又は重大な過失とは、それ以外のものをいう。

ここまで、 中小事業主等の特別加入について 書きました。

労災保険の方が、被保険者の病院等での窓口負担がないなど、健康保険より給付が手厚いです。
賢く利用したいものです。

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