年金制度改革で引き続き検討となった事項 

目次

  1. 年金制度改革の検討事項
  2. 基礎年金拠出期間の延長
  3. 第3号被保険者制度の廃止

年金制度改革の検討事項

5年に1度の公的年金制度の改革案が、2025年通常国会に提出される予定です。その改革に向けた厚生労働省の報告書が、2024年12月末に示されています。年金制度改革の検討事項として

  • 令和6年財政検証
  • 令和6(2024年)年財政検証結果を踏まえた今後の年金制度改正の議論について
  • 被用者保険の適用拡大
  • いわゆる「年収の壁」と第3号被保険者制度
  • 在職老齢年金制度の見直し
  • 標準報酬月額の上限の見直し
  • 基礎年金のマクロ経済スライドによる給付調整の早期終了
  • 高齢期より前の遺族厚生年金の見直し等
  • 年金制度における子に係る加算等
  • その他制度改正事項・今後検討すべき残された課題
  • 年金広報・年金教育

が示されています。

今回は、社会保障審議会年金部会で引き続き議論とされた項目についてみてみます。

(出典 厚生労働省 年金制度改革の検討事項)

chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://www.mhlw.go.jp/content/12501000/001364864.pdf

基礎年金の拠出期間の延長

今回の改正議論では、基礎年金の保険料拠出期間を現行の40年(20~59歳)から45年(20~64歳)に5年間延長する案が事務局から示されていましたが、見送りとなったようです。報告書では、「引き続き実現に向けて議論を行うべきである」としているようですが、少なくとも5年間は延長されない見込みです。基礎年金には、国庫からの拠出金もあり、基礎年金の給付にも反映されますので単純に損とか徳とか言えませんが、個人的には、とりあえずホッとしています。

(参考 国民年金及び厚生年金に係る財政の現況及び見通しの関連試算)

chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://www.mhlw.go.jp/content/001270533.pdf

第3号被保険者制度の廃止

第3号被保険者制度のあり方についても議論されたようです。将来的な見直しの方向性については意見がまとまらなかったようです。「政府に対し、被用者保険の適用拡大を進めることにより、第3号被保険者制度の縮小・見直しに向けたステップを着実にすすめるとともに、第3号被保険者の実態も精緻に分析しながら、引き続き検討することを求める」としているようです。

第3号被保険者制度については経済界からも見直しや廃止などの提言が出されており、新聞でも目にする機会があります。

今後の国会審議等を注視していく必要があります。