社会保険(労災、雇用、健保、厚年)の適用事業所について整理

社会保険(労災、雇用、健保、厚年)の適用事業所について整理 してみます。

ここでの社会保険の範囲は、労災保険、雇用保険、健康保険、介護保険、厚生年金保険の5つの総称の意味で使っています。

目次

  1. 適用事業所とは
  2. 人数のカウント方法
  3. 社会保険の適用拡大

適用事業所とは

適用事業所とは、法律が適用される事業所のことです。

主に場所的観念によって決定されます。

労災保険、雇用保険、健康保険、厚生年金保険において、それぞれ異なっています。

法律の条文によって規定されていますが、下の一覧表がわかりやすいです。

労災・雇用

法人個人経営
(常時5人以上)
個人経営
(常時5人未満)
原則強制適用強制適用強制適用
農林水産業強制適用強制適用任意適用

健保・厚年

法人個人経営
(常時5人以上)
個人経営
(常時5人未満)
法定17業種強制適用強制適用任意適用
法定17業種以外
・農林、畜産、養蚕、水産業
・料理店、飲食店、旅館、映画館、理美容業
・宗教業
強制適用任意適用(2029年9月まで)任意適用

強制適用というのは、事業主等の意思とは関係なく、強制的に法律が適用されるということです。

任意適用というのは、適用しようとするには厚生労働大臣の認可を受けて適用事業所となることができるということです。

労災保険、雇用保険の保険料と健康保険、厚生年金保険の保険料では、保険料の額が桁違いです。

保険料負担が大きい健康保険、厚生年金保険は、個人経営の小規模の事業所は強制適用としていないと考えるとわかりやすいと思います。

介護保険が上の2つの表にないでないか、という疑問を持たれた方もいるかもしれません。

介護保険には、適用事業という考えはありません。

介護保険は、市町村や特別区(東京23区)が運営しています。

保険料も市町村や特別区(東京23区)が徴収するのが筋ですが、確実に徴収するために40歳以上65歳未満については、健康保険料と一緒に保険料を天引きする仕組みになっています。

人数のカウント方法

上にあげた表で、労災保険、雇用保険の常時5人以上と、健康保険、厚生年金保険の常時5人以上については、対象者の範囲が異なっています。

労災保険、雇用保険の5人には社長(代表取締役)は含みません。

社長は雇われているわけではないので、労災保険、雇用保険の対象とはされておらず、人数にもカウントされません。

つまり、人を雇っていなければ、原則として労災保険、雇用保険の適用事業所とはならず、その保険の保険料の支払い義務もありません。

これに対し、健康保険、厚生年金保険の常時5人以上には、社長(代表取締役)も含まれます。

健康保険、厚生年金保険においては、社長もその会社から給料を得て会社のために働いていると考えます。

よって、社長1人、常時4人以上の従業員がいる会社の場合、たとえ個人経営であっても健康保険、厚生年金保険の適用事業所ということになります。

そして、その5人が被保険者の要件を満たすのであれば、健康保険、厚生年金保険の被保険者として保険料の支払い義務も生じます。

また、健康保険、厚生年金保険の常時5人以上については、その事業所に常時使用されるすべての者について計算します。

すなわち、健康保険の被保険者たるべき者はもちろん、健康保険の被保険者となることができない者(適用除外者)であっても、当該事業所に常時使用される者についてはこれを算入します。

例えば、1日3時間、午前中だけ勤務するパートの人であっても、常時使用する人であれば1人とカウントします。

社会保険の適用拡大

2029年10月以降から、健康保険、厚生年金保険において、常時5人以上を使用する個人事業所の適用対象が拡大されます。

上の表の、個人経営の法定17業種以外の欄の「任意適用(2029年9月まで)」の部分が、2029年10月から強制適用になります。

ただし、2029年10月時点で既に存在している事業所は当分の間、対象外とします。

その他、被保険者の要件の変更により、社会保険の適用拡大も行われています。

雇用保険の適用拡大も予定されていて、2028年10月1日以降に、被保険者の要件の1つの週の所定労働時間20時間以上が10時間以上に変更になります。

また、健康保険、厚生年金保険の短時間労働者の企業規模要件の縮小も段階的に行われ、2035年10月に撤廃される予定です。

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