マイナポータルを通じた離職票直接交付

目次

  1. マイナポータルを通じた離職票直接交付の概要
  2. 離職票直接交付のメリットとデメリット
  3. 電子申請を導入するかどうか

マイナポータルを通じた離職票直接交付の概要

一定の条件がありますが、離職者に対するマイナポータルを通じた離職票直接交付が令和7年1月20日から始まります。

「離職票」とは、正式名称を雇用保険被保険者離職票といい、会社を退職して被保険者本人が交付を希望した際などに送られてくるものです。離職者が求職者給付(基本手当等)を受給するために必要となる書類です。

一定の条件とは、

  • 届け出たマイナンバーが被保険者番号と適切に紐付いていること
  • 離職者ご自身がマイナポータルと雇用保険WEBサービスの連携設定を行なっていただくこと
  • 事業主より電子申請で雇用保険の離職手続きを行っていただくこと

の3つです。現行、以下の流れになっています。

事業所がハローワークへ資格喪失届と離職証明書を届出(窓口又は電子送付)

ハローワークが受理して、離職票、離職証明書(控)を事業所へ送付

事業所が離職者へ離職票を送付(離職証明書(控)は事業所が保管)

離職者が離職票の交付を受ける

これが、以下のように変わります。

事業所がハローワークへ資格喪失届と離職証明書を届出(電子送付)

ハローワークが受理して、離職票、離職証明書(控)を離職者、事業主のそれぞれに送付

離職者のマイナポータルに直接交付。

事業所へ離職証明書(控)を送付(電子送付)

引用元 厚生労働省のリーフレット https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/001353163.pdf

離職票直接交付のメリットとデメリット

メリット

被保険者にとっては、事業所から書類が郵送されるのを待つ必要がなくなります。その分、早く離職票が手に入ります。それだけだと大きなメリットに感じませんが、人によっては大きなメリットです。早く離職票が手に入った分、その離職票を持参してハローワークに早く出頭することができ、早く受給手続きをスタートできます。受給手続きは最初にハローワークへ休職の申し込みをした日からスタートします。被保険者期間や離職してから再就職までの期間、離職理由にもよりますので、全員があてはまるわけではありませんが、失業状態がハローワークに認定されれば、基本手当の給付制限期間の短縮(令和7年4月1日施行)もあり、基本手当の受給日数が増える可能性があります。まさに「時は金なり」です。

事業所にとっては、事業者から離職者に郵送等を行う事務がなくなります。これは確実にメリットです。郵送であれば、切手代、封筒代等のコストもへらせますし、電子申請を導入済だったとしても、公文書を離職者に送信する手間を省けるメリットは大きいです。個人情報でもあり、気を使う事務でもあるからです。

そして、ハローワークにとっても、紙より電子の方が、事務負担の軽減になることが推測されます。

離職者、事業所、ハローワークの3つとも、それぞれメリットがあります。「なんだ、メリットばかりじゃないか」と思われるかもしれませんが、デメリットにも触れておきたいと思います。

デメリット

まず、すでに電子申請を導入済の事業の場合は、新たなデメリットは少ないと思います。

被保険者自身がマイナンバーの登録有無を確認し、正確に登録されていない場合は、マイナンバーの登録が必要になります。また、被保険者本人が雇用保険WEBサービスとの連携設定を行なう必要があります。よって、被保険者本人の協力が欠かせません。

事業所においても業務フローの見直しが必要になるかもしれません。

雇用保険WEBサービスですが、やってみたら特に難しいことはありませんでした。下図が、未連携の状態です。

この「連携をはじめる」をクリックすると、下図の画面になります。

「次へ」ボタンをクリックすると、

となります。「同意して次へ」ボタンを押します。

これで完了です。

連携済になっています。

スマートフォンがあれば、パソコンからもマイナポータルへログイン可能です。

そして、電子申請未導入の事業の場合、そもそも電子申請を導入するかどうかを検討する必要があります。電子申請には、

  • 24時間いつでも申請できる
  • 窓口に赴く必要がない
  • 郵送費用がかからない

といったメリットがあり、確かに便利です。しかし、ソフトのメンテナンス等により本当に24時間いつでも申請できるわけではない、電子申請ソフト(e-GOVアプリケーションや業務ソフト)で不具合があった場合には、電子申請機能が利用できないといったことがあります。不具合の原因がわからない場合、

「どこがいけないんだろう」

「なぜ、エラーになるのだろう」

「なぜ返戻になったのだろう」

と悩みながら、何度も繰り返し申請することになる場合もあります。また、繁忙期など、窓口に持参して申請すれば、待ち時間こそかかるものの、その場で完了できる手続きが、電子申請だとなかなか進まず、逆に完了まで時間がかかる場合もあります。

どんな状況においても電子申請が紙の申請よりメリットがあるわけでわけではありません。

また、紙の公文書と電子の公文書をどのようにきちんと保管するか、という問題もあります。電子公文書をパソコン上で保存する場合、運用方法を明確にしないと、業務が煩雑になる恐れがあります。公文書を様々なフォルダに保管されると必要な時に見つけ出せなくなります。自分自身、公文書が見つけられずに困った経験があります。

とはいえ、電子申請は業務効率化をするための一つの手段として位置付けることができます。

従業員数や今後の従業員の増減の見込み、手続頻度も考慮して、自社にあった方法を決めて、段階的に導入するのがいいのではないでしょうか。